リピーター
商業施設の売上方程式
商業施設の売上方程式
売上方程式とは、「売上=数量×単価」のように、売上を構成する要因を「因数分解」して、売上を分析する手法である。他の不動産物件タイプと大きく異なり、施設全体の売上が賃料収入においても最大の関心事である商業施設にとっては、売上方程式はバリューアップや再生戦略を実行する上でも極めて有用な手法である。
売上方程式で典型的なものとしては、「売上=顧客数×購買頻度×購買単価」、「売上=顧客数×購買単価×1回当りの購買個数×購買頻度」等が指摘される。本稿においては、商業施設の売上方程式について紹介していきたい。
売上方程式の意義
「売上=数量×単価」を基本的なものとする売上方程式において最も重要なのは、自社や対象プロジェクトにとって最適となるような「算式」を具体的に策定していくことである。売上方程式を活用する上での注意点は、「因数分解」した要因のなかで、何が最も売上に対して影響力が大きいのかを、実績データ等を基にして優先順位付けしていくことである。それぞれの要因について、自社の実績データ、競合他社のデータ、顧客のデータ等と比較して分析していくことが不可欠だ。売上方程式は、「1ヶ月に必要な売上個数はいくつか」、「1ヶ月に必要な来店客数は何人か」、「1ヶ月に必要な新規顧客数やリピーター顧客数は何人か」等、売上の主な要素の目標数値を設定する上でも重要なツールとなる。
売上方程式の応用例としては、営業活動の成果を分析するのに用いられる訪問方程式(「売上=総訪問件数×受注率×受注単価」)、費用面の分析に用いられる費用方程式などがある。より具体的な事例としては、レストラン等飲食の売上方程式は、「売上=顧客数×客単価×営業日数×店舗数」、「顧客数=席数×満席率×回転率」が基本形となっている。
商業施設の売上方程式事例
図表1は、商業施設の売上方程式の事例である。売上を来店客数と客単価に分解した後で、それぞれを「対象顧客数×来店頻度」、「品揃え等の魅力度×購買頻度」等に分解している。図表1のピラミッドのインフラストラクチャーを形成しているのは、本章第1回目(2008年2月号連載)でも紹介した「商圏分析の10大ポイント」である。実務的には、これらの10大ポイントの各要素も活用しながら、定性・定量分析を行い、対象となる商業施設に最も適した売上方程式を策定していくことになる。尚、来店頻度や購買頻度等、対象となる商業施設にどれだけ来店した上で、実際にそれだけの消費を行うか(いわゆる「コンバージョン・レート」)は、最終的に売上を上げていくには極めて重要な要素だ。これらの要素については、対象となる商業施設が対応する商圏のなかにおいて、「ファースト・チョイスの施設」(顧客が最もよく利用する施設)なのか、「セカンド・チョイスの施設」(顧客が2次的に利用する施設)なのかの施設ポジショニングによって、大きくその水準が異なるものであることを指摘しておきたい。
図表2の売上方程式は、売上を構成する要因のなかで、特に対象となる商業施設における潜在的な顧客層、同施設における顧客の滞在時間、顧客に対する販売価格に着目したものである。実務的には、これらの要因を、さらに対象となる商業施設における来店者の歩行距離、同施設内の動線、個別店舗への入店率、買い上げ点数、買い上げ店舗率等に分解して分析を行っていくことになる。
最後に、合理性の高い定性・定量分析を踏まえて策定された売上方程式は、どのような要因にどのような施策を実行していくことでより効果的な売上改善を果たしていくことができるかという実務上も明快なマーケティング・ロジックとなるものであることを強調しておきたい。
タグ:
-
分析
売上
商業施設
戦略
事例
ポイント
店舗
商圏
商圏分析
重要
不動産
客数
飲食
改善
賃料
手法
アップ
商業
因数分解
客単価
マーケティング
顧客
来店客数
分解
売上方程式
策定
定量分析
ピラミッド
実際
入店率
競合
活用
必要
データ
施設
順位
方程式
対象
要因
明快
ツール
来店頻度
バリューアップ
実行
紹介
定性
販売
競合他社
比較
費用
図表
www
プロジェクト
意義
連載
自社
レストラン
価格
回転率
指摘
来店
単価
定量
再生戦略
目標
再生
入店
滞在時間
営業
プロ
品揃
点数
point
動線
水準
実績
ポジショニング
最後
他社
来店客
顧客数
購買
要素
効果的
客層
不可欠
バリュー
売上改善
影響
販売価格
売価
対応
注意
何人
効果
ストラクチャー
具体的
距離
回目
構成
設定
数量
顧客層
着目
最適
全体
最終的
典型的
施策
注意点
本稿
満席率
最大
時間
タイプ
新規
施設全体
merging
応用
歩行距離
店舗数
月号
消費
ロジック
基本的
リピーター
購買頻度
頻度
新規顧客
算式
優先
実務的
成果
魅力度
強調
合理性
利用
魅力
訪問件数
来店者
活動
受注
本章
対象顧客
タイ
優先順位
物件
購買単価
潜在的
訪問
基本
件数
ストラク
形成
優先順位付
影響力
チョイス
実務
因数
不動産物件
sr
ファースト
受注率
業績改善のためのSWOT分析
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」(SWOT分析)
町の小さな魚屋は、同じ町の魚屋さんはもちろん、近くにある大型スーパーもライバルになります。しかも大手スーパーになると、鮮魚コーナーも広くて魚の種類も多く、値段も安いです。だから、ライバル店と肩を並べるのは本当に難しいことです。
プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい。
強力なライバル店舗との競争に勝つためには、自分の魚屋はどこにチャンスがあるのか、そして、その発見したチャンスにうちのお店ならどんな強みを発揮することができるかを考えていくことが大切です。
なぜ「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」なのか。
少人数でお店を切り盛りしていて、ライバル店が近くにあれば、商売が大変なのは明らかです。でも、少人数ということは裏を返せば少数精鋭ということにもなりますよね。社員数の多い企業になればなるほど、意思疎通や戦略決定に時間がかかりますが、少数精鋭であれば、スピード感もあり機動力もある。小さな魚屋は店員さん一人ひとりが即戦力だから接客もプロです。魚や食べ物の知識がとても豊富で、お客様一人ひとりの「顔」やプロフィールまで知っている。お客様に接するときも、きめ細かな部分まで対応できていることが多いと思います。
たとえば、健康面が気になるお客様には魚の部位にどんな栄養が含まれているのかを伝えたり、それぞれの魚に合うヘルシーな調理法を教えていたり。お客様が気にしている情報をさりげなく伝えることも上手です。そういう接客努力が実を結んで、お客様はまた次も買いに来ようという気持ちになる。安心して魚を買えるから、当然、リピーターが増えていくのだと思います。
そんな魚屋にとって新しい顧客獲得のチャンスといえば、実はお金持ちやシニア世代、VIPな富裕層が狙い目なのです。なぜなら、彼らの多くは本物の食材にこだわる美食家や、健康志向の強い人だから、というわけです。
お店がVIPの御用達になれば評判になって、VIPからVIPへ、口コミでお店の名が知られるようになります。小さな町の魚屋は富裕層の購入意欲を刺激させるのが上手。だから、結果的に富裕層のリピーター率が高くなっていきます。
スーパーに行けば安い魚がたくさん買えるけど、富裕層はあえて小さな町の魚屋を選んでいるのです。それは、多少値段が高くても、自分のためだけのサービスを提供してくれるお店がいいから、ということに尽きると思います。
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」は、SWOT分析の応用。
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」は、経営学においてはSWOT分析の応用になります。SWOT分析とは、強み(strength)、弱み(Wweakness)、機会(Oopportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から事業を分析するという考え方。事業の評価や目標達成のための戦略を練る基本的な経営ツールです。
チャンスのあるところに長所を生かす、それはビジネス戦略においても最大限の武器となる考え方です。さらに「敵を知り己を知る」ことができたなら、万全の経営戦略といえるでしょう。
ここでいう「敵」とは、SWOTのT(脅威)にあたります。自社にとってライバル企業の出現や、景気動向や社会情勢などのどうすることもできない要因、または材料費の高騰なども脅威になります。そして己とは、お店や会社のことを意味し、内部にある自社の強みと弱みをしっかりと見つめる作業が大事となってきます。
この敵と己を十分理解すれば、経営戦略を誤ることも少なくなるでしょう。
そんな“敵”と“己”の理解し、強みと弱みを生かしながら事業戦略を立案するときフレームワークとしてよく使われるのが、「SWOT(スウォット)分析」なのです。(図1「SWOT分析」参照)。
なぜSWOT分析が大切なのか?
SWOT分析は、自社の強みと弱みを把握できるのはもちろん、3C分析の一部として自社分析の深掘りとして重要です。SWOT分析によって導くことができた自社の強みはビジネス戦略にとって大変重要だからです。このSWOT分析の結果から、企業は経営戦略の方向性を誤らず、的確に立案することができるようになるのです。
では、SWOT分析はどのようにして使うのでしょうか。
最初の手順としてまず、自社の内部環境にあたる「強み・弱み」を分析します。さらに、社会情勢や市場などの外部環境にあたる「機会・脅威」も分析します。そして、それぞれを一覧表に書き出して作成し、内部と外部の2軸で分析していきます(図2「SWOTの分類」参照)。
強みと弱み、機会と脅威、これらの4つの項目をクロスさせた表を作成すると、対処すべき方向性が見えるという仕組みになっています(図3「SWOTが示す戦略」参照)。
ここで注意しなければならないのは、SWOT分析を用いても、ただ表を埋めるだけで終わってしまった、というケースに陥らないことです。
実際の戦略立案に活用できず、役に立たないという結果にならないようにするには、SWOT分析を正しく使いこなすことが大切なのです。
SWOT分析が役に立たなかったとき、何が原因なのか。そうすると以下の4つのことが挙げられます。
強みと弱みの分析が自社の中でしか行われていない。ライバル企業との相対比較ができていない。
市場の機会を分析するとき、顧客が抱える不満や社会情勢による不可抗力な問題など、「障害」の発見ができていない。
自社の強み分析を、顧客自身の問題を解決できる強みかどうかの分析にフォーカスしていない。
自社の弱みの分析を、顧客自身の問題を解決するのに必要で、自社にない弱みかどうかの分析にフォーカスしていない。
いま挙げた4つの原因を解決しないと、戦略立案に役立てることはできません。だから、次の視点をプラスで考えることが大切です。
①ライバル企業と比較して、違うものをリストアップする。リストアップした事項の中から、顧客自身の障害を解決できる強みだけを残す。
②お客様自体の障害を解決するために必要な事項で、自社には備わっていないものを弱みとしてリストアップする。
特に、2の「強みを残す」作業がとても重要となってきます。
2の作業を経て、導き出すことができた「強み」を、市場の「機会」とクロスさせる。そこで出た答えに焦点を当てるプロセスが一番大切です。
さらに、前述した3の作業を経て導き出した「弱み」を市場の「脅威」とクロスさせてみます。すると、その事業そのものを撤退することが英断だった、という結果も多々あったりするのです。
最後になぜ、『チャンスのあるところに長所を生かすべき』なのか。それを説明するのに、分かりやすいのがスポーツの世界です。スポーツには必ずプロとアマがありますが、そんなプロとアマの世界では、選手一人ひとりの強みと弱みの生かし方について決定的な違いがあるといわれています。
まず、アマチュアのコーチは、チーム全体の平均点を上げるために選手の短所(弱み)を直す作業に力をいれます。
一方で、プロのコーチは、選手一人ひとりの強みが発揮できるシーンを想定し、その強みを徹底的に伸ばすことに力を入れます。プロの世界では、短所がないことはあまり評価されません。むしろ、その選手にしかない強み、唯一無二の強みがあれば、その強みにさらに磨きをかける作業が大事で、とことん何かにとんがっている選手が評価されます。
つまり、ビジネスでもスポーツでも、プロの世界においては、長所を徹底的に伸ばしていき、その長所をチャンスのあるところに生かすことの方が大切なのです。
タグ:
-
分析
SWOT
スーパー
魚屋
鮮魚
戦略
会社
店舗
SWOT
経営
企業
重要
ビジネス
改善
自分
アップ
仕組
3C
客様
顧客
スポーツ
業績改善
経営学
実際
サービス
業績
活用
必要
大切
ライバル
プロセス
経営戦略
要因
フレームワーク
ツール
本当
調理
事業
比較
機会
クロス
評価
ロス
脅威
意味
大手
以下
平均
自社
視点
問題
世界
原因
理解
市場
店員
提供
結果
気持
目標
コーナー
作業
説明
プロ
決定
接客
最後
社員
種類
動向
徹底的
チャンス
方向性
一覧
スウォット
値段
ケース
部分
把握
対応
注意
豊富
環境
解決
達成
分類
富裕層
長所
評判
外部環境
一部
全体
大型
項目
チャン
知識
十分
商売
最大
時間
努力
プロフィール
自身
大事
応用
参照
刺激
社会
部位
選手
作成
基本的
リストアップ
リピーター
index
情報
上手
外部
コーチ
チーム
最初
大変
フォーカス
VIP
戦略立案
障害
手順
シニア
事業戦略
内部
想定
本物
コミ
立案
競争
意欲
社会情勢
食材
少人数
武器
顧客自身
強力
人数
内部環境
短所
プラス
少数精鋭
シーン
基本
役立
景気
スーパ
栄養
深掘
アマ
健康
選手一人
ワーク
購入
撤退
事項
方向
獲得
発揮
発見
自社分析
自体
シー
志向