世界
業績改善のための行動科学
魚を通じてお客様に喜んでいただきなさい。→行動科学
4月は、魚屋でも新入社員が入ってくる時期です。
鮮魚部門に入ってくる新人には、3つのことだけまずは覚えなさいと言っています。
一つ目は、商品である魚をよく知ること。
二つ目は、その魚に強いこだわりや思いをもてるようになること
三つ目は、自分が食べておいしいと思った感動を伝えていくことで、お客様に喜んでいただくこうと心掛けること。
つまりは、「魚を通じてお客様に喜んでいただきなさい」ということです。このためにも、昼や夜には魚を食べに外に連れていきます。
食べてみてどう感じるか。何をどうしたらおいしいと感じるか。魚や食べること自体に強いこだわりを持てるか。自分が魚をよく知り、魚のおいしい食べ方を知
り、味わって食べることで感動すること。そしてその感動をお客様に伝えることが大切であることを、一緒に魚を食べながら教えていくのです。
なぜ「魚を通じてお客様に喜んでいただきなさい」なのか?
魚のことをよく知っていて、魚のことを愛している店員さん。
魚のことはよく知らずに、魚のことをあまり好きではない店員さん。
あなたはどちらの店員さんが売っている魚の方がおいしいと思いますか? どちらの店員さんから魚を買いたいと思うでしょうか?
特に、その店員さんが、魚のことをよく知っているだけではなく、自分が料理して、食べてみて、おいしかった経験から、「お勧め商品」と言っている場合。きっとさらに購買意欲が刺激されますよね。
自分で販売している商品やサービスの内容をよく知っていること。自分が販売している商品やサービスを愛していること。
そして、特に自らがその商品やサービスの愛用者である場合には、お客様は心を動かされる場合が多い。
この顧客心理は、売っている側が買っている側の目線をもっているため、どのようにしたらお客様に喜んでいただけるかという「顧客志向」がまさに貫徹されているところから生み出されています。
商品やサービスを販売している店員さんが、自分の感動を通じてお客様に喜んでいただこうと心から思っていることが伝わってきたとき。
相手が本当に自分のことを思って言ってくれたんだと思えたときに、人は共感を覚えます。そして、共感をもつと、相手のことを応援したくなり、その商品やサービスを自分でも使ってみようと思うようになる傾向があります。
売っている人に感動がないと、話している商品知識は「机上の空論」のように聞こえてきます。一方で、売っている人に感動があると、売っている人は商品知識を「体得」しているように感じてきます。そして、お客様もその姿勢に共感して、自分もその感動を共有したいと思うようになるのです。
「魚を通じてお客様に喜んでいただきなさい」とは行動科学の応用
「田中君は心構えがなっていない! もう一度新人研修を受けてきなさい」
入社一年目の頃は、上司からたびたびこんな風に叱られたものです。新人のときは、ついつい仕事上の知識やスキルを先に覚えたくなるものですよね。でも木村課長は私に、「順番は逆なんだよ」と教えてくれていたわけです(すいません、心からのお礼を込めて課長の苗字だけ公開!)。
「魚を通じてお客様に喜んでいただきなさい」というのも、私が新人時代によく叱咤激励されていたのも、経営においては、心構えや考え方などに関係する行動科学や心理学が重視されているからなのです。
それでは、繁盛魚屋の新人研修でもそうであったように、経営において心構えや考え方が最も大切にされているのはどうしてなのでしょうか?
これを説明していくのに、とってもわかりやすい「経営の方程式」があります(図表2-1ご参照)。この方程式の考案者は、日本を代表する経営者の一人で、多くの啓蒙的な著作でも有名な京セラの稲盛和夫会長。
「仕事の結果」= 考え方 × 熱意 × 能力
稲盛会長は、仕事の結果を決定付ける要因のなかで、熱意や能力は0点から100点までの点数があるのに対して、考え方は-100点から100点までが存在するとしています。考え方とは、心構えや働く姿勢などを含めた人格や人徳のこと。能力がたとえ0点であったとしても、仕事の結果は最悪でも0点。もっとも、考え方のあるべき方向性が違っていると、お店や会社全体の成績は、マイナスの状態に陥ってしまう可能性もあることを示しているのです。
それでは、行動科学や心理学を使って、繁盛魚屋のケースをいっしょに考えてみましょう。
自分が魚を知り、魚を好きになり、おいしいと思い、その感動を伝えることでお客様に喜んでいただきたいと思っている店員さん。
普通の店員さんと比べて、私達はどうしてこういう店員さんから魚を買いたいと思う心理になるのでしょうか?
それは、コミュニケーションの送り手である店員さんにとっても、受け手であるお客様にとっても、「感動すること」が大きな分岐点になっているのです。
まず始めに、店員さんの側から考えてみましょう。
行動科学においては、人は普段の思い込みの枠から外れて、心から感動したときに、初めて対象である事象のことを本当に理解できると言われています。
つまりは、「腑に落ちる」とか「体感する」ためには、感動が不可欠。
何かを勉強していて感動するのは、実は本当に理解できた証拠でもあるのです。感動とともに身に付けた知識やスキルが、本当に「体得」したものなのです。
そして、感動とともに知識やスキルを身に付けた人は、自発的に行動するようになります。特に、その感動を人にも伝えていきたいと思って行動しているときには、さらにモチベーションが高まり、より大きな効果がもたらされると言われているのです。
それでは、お客様側ではどのように「感動すること」が大きな分岐点となっているのでしょうか?
それは、行動科学における「ラポール」の状態が、店員さんとお客様との間で自然と形成されているからです。
ラポールとは、共感すること。他の人と喜怒哀楽などの感情を共有すること。
共感することで、相手への信頼や友情などの好意的な感情が生まれるものとされています。
ラポールとは、フランス語で「橋をかける」という意味。「人と人の心の間に橋をかけること」や「心と心が通い合って共感が生まれること」が行動科学におけるラポールです。
そして、ラポールとはフランス語で「二人称」という意味。自分が話をしている相手のこと。
すなわち、「ラポール=共感を生み出すこと」の最大のポイントは、「相手の立場で考える」ということなのだと行動科学では言っているのです。
商品である魚のことをよく知り、その魚のことを愛し、その魚を本当においしいと思っている店員さん。そして、その感動をお客様にもお伝えしたいと思っている店員さん。魚を買って食べる側であるお客様の立場で考え、お客様にも自分が味わった幸福感を感じてもらいたいという姿勢に、お客様は共感するのです。
そして、共感することが、人が何かの行動を自発的に起こすためには最も重要なことなのです。共感することで、相手を応援したいという気持ちが生まれるのです。
行動科学の重要な一分野でもあるコーチングの世界では、「コミュニケーションの主体は、送り手ではなく、受け手にある」という考え方がとっても大切にされています。そして、この「主体は受け手にある」という考え方は、繁盛魚屋が新人研修を行う上でも、その他のビジネスの経営全般においても、知識やスキルに目を向ける前に、まずは最も大切なものなのだと思います。
「ノウハウの前に大事なのは人を喜ばせようという心なんだよ」
出来の悪い部下で今でも発展途上の私には、木村課長のありがたい口癖が今でもボディーブローのように効いてきます。
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業績改善のための3C分析
「3つのことを同時に見なさい」(3C分析)
繁盛魚屋を作っていくためには、「3つのことを同時に見なさい」と言っています。3つのことというのは、お客様、ほかの魚屋、自分のお店のことをいいます。
3つのことを同時に見なさい。
簡単なようで難しいのは、これらの3つを同時で見ること。同時に3つを見ることができれば、損が出ることはめったにない。損が出る場合は必ず3つのうちのどれかを見落としてしまっているからなのです。
なぜ「3つのことを同時に見なさい」なのか。
以前、私のオフィスの近くにはタイ料理屋さんがありました。そのお店に初めて入ったときのことです。店内の印象は内装がモダンで、一見、タイというよりフレンチかなと違和感を覚えました。席についてメニューに目を通すと、トムヤムクンやガパオなどの定番メニューに混ざって、なぜかパスタやピザまでありました。おそらく近くの競合店を意識して、メニューの幅を広げようとしたのでしょうが、味も中途半端で、美味しいタイ料理を期待していた私は、がっかりしてお店を出たことがあります。
皆さんもお店に入ったとき、「あれっ」と思った経験はありませんか。そのお店の雰囲気に似つかわしくないのに、流行店の真似をしているのを見て違和感を覚えた、といった経験です。
お客様に違和感を与えてしまったら、もちろんお店の集客力は弱くなります。魚屋の場合で考えてみても、なにか違うな、とお客様に思われていたら、次のような理由があるのではないでしょうか。
・ お客様とライバル店の研究はしているものの、自分のお店の強みではないことをしている魚屋。
・ ライバル店と自分のお店の研究はしているものの、お客様のことを見失ってしまった魚屋。
・お客様と自分のお店の研究はしているものの、ライバル店の動きに注目していない魚屋。
これらの3つが、魚屋が繁盛しなくなる典型的なパターンです。 お客様に何かが違うと思われてしまうお店には、3つのことが同時に見えていない場合が非常に多いのです。自分のお店のオリジナリティはなにか、強みはなにか、お客様はお店に対してなにを求めているのか、顧客ニーズはなにか、また、近くにある競合店はどんな強みで勝負しているのかを同時に見て、総合的に考え、分析していくことが、ビジネス成功の鍵といわれています。
「3つのことを同時に見なさい」は、3C分析の応用
最初に「3つのことを同時に見なさい」、とお伝えしましたが、経営学ではそれを3C分析と呼んでいます。経営学や経営戦略にはさまざまなツールがありますが、その最も基礎的なツールが3C分析なのです。3Cとは、お客様・Customer、他の魚屋・Competitor、自分のお店・Company、この3つを英語表記したときの頭文字をとったものです。魚屋をさらに繁盛させるために、集客の戦略を考えるとき、3Cを整理してみると、お店の問題点が改めて浮き彫りになってくるのです。
3C分析は、とてもシンプルな考え方であるのと同時に、使いこなすのは難しい
といわれています。実際に企業が失敗している点を分析してみると、3Cのうち、どれか一つの分析が不十分だったというケースが多いのです。
たとえば、いま考えている企画がお客様のニーズを満たすものであったとしても、競合先の強みを知らず、競合先の方がより魅力的で優位なアイディアなら、せっかく考えた売れるための企画も台無しに終わってしまいます。大事なことは、3つのCを三位一体で分析すること。経営学の世界では、3つのCを三位一体で分析する3C分析のプロセスがとても重要なのです。
顧客、市場、競合を分析した結果、導かれた成功要因に対して、自分の会社の内部の分析から分かった成功要因との違いを見つけて、アクションを導きだすことができる、そのための有効なツールが3C分析です。
魚屋で実際に行われた3C分析
それでは、街の魚屋を題材にして3C分析を見ていきましょう。
大手スーパーの鮮魚部門は品揃えも豊富で価格も魅力的です。普通の街の魚屋では簡単には太刀打ちできません。大手スーパーでは全国レベルで大量仕入をしており、それが低価格で販売できる大きな要因となっています。
このような状況のなかで、街の魚屋ではどのように大手スーパーの鮮魚部門に対抗していったらいいのでしょうか?
ここで最も役に立つ経営手法が3C分析です。3C分析では、まずは自社、競合他社、顧客のそれぞれにおいて重要なポイントをリストアップしていきます。最終的に3つから5つくらいの重要なポイントに絞っていきます。ここで重要となるのは、絞っていくプロセスの前には、できるだけ多くの要因をリストアップした上で優先順位付けするということです。
このお店では、まずは自分のお店の特徴について徹底的に自己分析し、最も重要と思われるポイントを3つに絞りました。それらは、「他のお店には負けない魚についての商品知識がある」、「お客様については顔と名前が一致するくらい親しく取引している」、「小さいお店である分、お客様に対してきめの細かい対応ができている」というポイントでした。
競合他社についての分析は、いろいろと研究してみた結果、次の3点に集約
されました。それらは、「最も直接的に競合しているのは大手スーパーであること」、「大手スーパーでは品揃え豊富で価格も安いこと」、「一方で、コスト削減に力を入れていることから、商品もサービスも標準的になってきていること」の3点です。
お客様についても徹底的に分析した結果、「お客様は景気低迷のなか低価格を求めている層が多いこと」、「その一方で、魚の需要やお客様のニーズも多様化してきていること」、「きめ細かいサービスを求めるお客様も根強く存在していること」がわかりました。
ここからが、3C分析を行う上で最も見逃せないところです。3C分析の注意点は何だったでしょうか?
そうですよね。3つのことを同時に見ていくことでしたね。
それぞれのCの重要なポイントを同時に考えていくと、そこから導き出される戦略の方向性は以下のような感じになってくると思います。
大手スーパーが標準的なサービス提供で十分に対応できていないきめ細かいサービスを求める消費者層に特化して、魚についての商品知識ときめ細かいサービスという強みを生かしたお店作りをしていくこと。
このお店では、戦略の方向性が3C分析で明確になったことから、さらに詳細な計画をこの本でも紹介するような手法を使ってつめていくことになります。特に次の章で紹介するSWOT分析を使って、自分のお店の強みを深堀りしていくのが効果的です。
前にも述べた通り、3C分析は3つのことを同時に見て、そこから戦略の方向性を導くことが大切である一方で、なかなか3つを同時に踏まえるというのは難しいものです。
とってもよくある失敗するパターンとしては、「ライバル会社がお客様にこんなことをやって流行っているからうちも会社でも同じようにやってみよう」といったケース。この魚屋のケースでいけば、「お客様の多くは低価格を望んでいて、大手スーパーの低価格販売もお客様に受けているので、うちでも価格を下げていこう」といった戦略を採用してしまう場合。大手スーパーは大量仕入に代表されるコスト削減ができているからこそ低価格で販売できるのであり、街のお店が単純に価格を下げたらまさに死活問題となってしまうでしょう。
最後に強調しておきたいのは、どうして経営学において数え切れないほどの手法があるなかで、3C分析が最も重要と指摘されているかという点です。
それは、「自分を知ること」、「顧客を知ること」、「競合を知ること」が、ビジネスにおいての3大要因であるからなのです。そして、これらの3大要因を考えることがとっても大切であるにもかかわらず、意外とできていないことが多い。だからあらためて3C分析と言っているわけです。「3つのことを同時に見なさい」とは、万国共通、業種を問わず、会社の規模を問わず、とっても大切なことなのです。
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見失
整理
対抗
削減
美味
一見
特化
業績改善のためのSWOT分析
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」(SWOT分析)
町の小さな魚屋は、同じ町の魚屋さんはもちろん、近くにある大型スーパーもライバルになります。しかも大手スーパーになると、鮮魚コーナーも広くて魚の種類も多く、値段も安いです。だから、ライバル店と肩を並べるのは本当に難しいことです。
プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい。
強力なライバル店舗との競争に勝つためには、自分の魚屋はどこにチャンスがあるのか、そして、その発見したチャンスにうちのお店ならどんな強みを発揮することができるかを考えていくことが大切です。
なぜ「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」なのか。
少人数でお店を切り盛りしていて、ライバル店が近くにあれば、商売が大変なのは明らかです。でも、少人数ということは裏を返せば少数精鋭ということにもなりますよね。社員数の多い企業になればなるほど、意思疎通や戦略決定に時間がかかりますが、少数精鋭であれば、スピード感もあり機動力もある。小さな魚屋は店員さん一人ひとりが即戦力だから接客もプロです。魚や食べ物の知識がとても豊富で、お客様一人ひとりの「顔」やプロフィールまで知っている。お客様に接するときも、きめ細かな部分まで対応できていることが多いと思います。
たとえば、健康面が気になるお客様には魚の部位にどんな栄養が含まれているのかを伝えたり、それぞれの魚に合うヘルシーな調理法を教えていたり。お客様が気にしている情報をさりげなく伝えることも上手です。そういう接客努力が実を結んで、お客様はまた次も買いに来ようという気持ちになる。安心して魚を買えるから、当然、リピーターが増えていくのだと思います。
そんな魚屋にとって新しい顧客獲得のチャンスといえば、実はお金持ちやシニア世代、VIPな富裕層が狙い目なのです。なぜなら、彼らの多くは本物の食材にこだわる美食家や、健康志向の強い人だから、というわけです。
お店がVIPの御用達になれば評判になって、VIPからVIPへ、口コミでお店の名が知られるようになります。小さな町の魚屋は富裕層の購入意欲を刺激させるのが上手。だから、結果的に富裕層のリピーター率が高くなっていきます。
スーパーに行けば安い魚がたくさん買えるけど、富裕層はあえて小さな町の魚屋を選んでいるのです。それは、多少値段が高くても、自分のためだけのサービスを提供してくれるお店がいいから、ということに尽きると思います。
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」は、SWOT分析の応用。
「プロはチャンスのある所に長所を生かしなさい」は、経営学においてはSWOT分析の応用になります。SWOT分析とは、強み(strength)、弱み(Wweakness)、機会(Oopportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から事業を分析するという考え方。事業の評価や目標達成のための戦略を練る基本的な経営ツールです。
チャンスのあるところに長所を生かす、それはビジネス戦略においても最大限の武器となる考え方です。さらに「敵を知り己を知る」ことができたなら、万全の経営戦略といえるでしょう。
ここでいう「敵」とは、SWOTのT(脅威)にあたります。自社にとってライバル企業の出現や、景気動向や社会情勢などのどうすることもできない要因、または材料費の高騰なども脅威になります。そして己とは、お店や会社のことを意味し、内部にある自社の強みと弱みをしっかりと見つめる作業が大事となってきます。
この敵と己を十分理解すれば、経営戦略を誤ることも少なくなるでしょう。
そんな“敵”と“己”の理解し、強みと弱みを生かしながら事業戦略を立案するときフレームワークとしてよく使われるのが、「SWOT(スウォット)分析」なのです。(図1「SWOT分析」参照)。
なぜSWOT分析が大切なのか?
SWOT分析は、自社の強みと弱みを把握できるのはもちろん、3C分析の一部として自社分析の深掘りとして重要です。SWOT分析によって導くことができた自社の強みはビジネス戦略にとって大変重要だからです。このSWOT分析の結果から、企業は経営戦略の方向性を誤らず、的確に立案することができるようになるのです。
では、SWOT分析はどのようにして使うのでしょうか。
最初の手順としてまず、自社の内部環境にあたる「強み・弱み」を分析します。さらに、社会情勢や市場などの外部環境にあたる「機会・脅威」も分析します。そして、それぞれを一覧表に書き出して作成し、内部と外部の2軸で分析していきます(図2「SWOTの分類」参照)。
強みと弱み、機会と脅威、これらの4つの項目をクロスさせた表を作成すると、対処すべき方向性が見えるという仕組みになっています(図3「SWOTが示す戦略」参照)。
ここで注意しなければならないのは、SWOT分析を用いても、ただ表を埋めるだけで終わってしまった、というケースに陥らないことです。
実際の戦略立案に活用できず、役に立たないという結果にならないようにするには、SWOT分析を正しく使いこなすことが大切なのです。
SWOT分析が役に立たなかったとき、何が原因なのか。そうすると以下の4つのことが挙げられます。
強みと弱みの分析が自社の中でしか行われていない。ライバル企業との相対比較ができていない。
市場の機会を分析するとき、顧客が抱える不満や社会情勢による不可抗力な問題など、「障害」の発見ができていない。
自社の強み分析を、顧客自身の問題を解決できる強みかどうかの分析にフォーカスしていない。
自社の弱みの分析を、顧客自身の問題を解決するのに必要で、自社にない弱みかどうかの分析にフォーカスしていない。
いま挙げた4つの原因を解決しないと、戦略立案に役立てることはできません。だから、次の視点をプラスで考えることが大切です。
①ライバル企業と比較して、違うものをリストアップする。リストアップした事項の中から、顧客自身の障害を解決できる強みだけを残す。
②お客様自体の障害を解決するために必要な事項で、自社には備わっていないものを弱みとしてリストアップする。
特に、2の「強みを残す」作業がとても重要となってきます。
2の作業を経て、導き出すことができた「強み」を、市場の「機会」とクロスさせる。そこで出た答えに焦点を当てるプロセスが一番大切です。
さらに、前述した3の作業を経て導き出した「弱み」を市場の「脅威」とクロスさせてみます。すると、その事業そのものを撤退することが英断だった、という結果も多々あったりするのです。
最後になぜ、『チャンスのあるところに長所を生かすべき』なのか。それを説明するのに、分かりやすいのがスポーツの世界です。スポーツには必ずプロとアマがありますが、そんなプロとアマの世界では、選手一人ひとりの強みと弱みの生かし方について決定的な違いがあるといわれています。
まず、アマチュアのコーチは、チーム全体の平均点を上げるために選手の短所(弱み)を直す作業に力をいれます。
一方で、プロのコーチは、選手一人ひとりの強みが発揮できるシーンを想定し、その強みを徹底的に伸ばすことに力を入れます。プロの世界では、短所がないことはあまり評価されません。むしろ、その選手にしかない強み、唯一無二の強みがあれば、その強みにさらに磨きをかける作業が大事で、とことん何かにとんがっている選手が評価されます。
つまり、ビジネスでもスポーツでも、プロの世界においては、長所を徹底的に伸ばしていき、その長所をチャンスのあるところに生かすことの方が大切なのです。
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講演・講師のご依頼
当社代表取締役社長である田中道昭が、貴社のニーズに合致した講演やセミナー講師を務めさせていただきます。
テーマや内容、ご予算等につきましては、貴社のニーズや状況に応じてご相談の上で一緒に策定していきます。
実績のある講演やセミナー(含む企業内セミナー)のテーマには以下のようなものがあります。
- 「アマゾンの大戦略」
PHP研究所より2017年11月に出版された「アマゾンが描く2022年の世界―すべての業界を震撼させるベゾスの大戦略」の内容をもとに、アマゾンのミッション・ビジョン・バリュー、経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略、リーダーシップ×マネジメント等を講演していきます。
- 「ミッションの経営学」や「ミッション経営」
すばる舎より2012年10月に出版された「ホワイトオーシャン戦略シリーズI:ミッションの経営学」の内容をもとに、企業経営におけるミッションの重要性、策定の方法、実行の方法、実例などについて講演していきます。
- 「ホワイトオーシャン戦略による業績改善」
すばる舎より2012年10月に出版された「ホワイトオーシャン戦略シリーズI:ミッションの経営学」の内容をもとに、今ある経営資源をフル活用して業績改善を実行していくホワイトオーシャン戦略の手法やその実例を講演していきます。
- 「人と組織のフル活用」
豊富なコンサルティング実績と組織論・人事論などから、理論と実践両面から構成される実践的ですぐに活用できる「人と組織のフル活用」について、モチベーション強化、リーダーシップ強化、チームワーク強化などの観点から講演していきます。
- 「科学的にモチベーションを高める方法」
「自分でできると思うこと」、「自分で決めたと思うこと」、「わかってくれていると思うこと」、「必要性への共感」、「自分の存在意義を実感できること(ミッションの明確化)」などを強化し、豊富なコンサルティング実績と心理学・行動科学から、瞬発力と持続力両者に配慮してモチベーションを高めていきます。
- 「セルフリーダーシップの手法」
「自分を知ること」、「自分の機嫌を取ること(アイムOK)」、「ミッションの強化」、「リーダーシップは愛(SAT療法に基づくリーダーとしての在り方)」などを中心テーマとして、リーダーシップの中核であるセルフリーダーシップを強化していきます。
- 「実践マーケティング戦略講座」
消費者の購買決定プロセスを踏まえた五感マーケティングやシズルマーケティングなどの心理マーケティング、ターゲットプロファイリングやラダリングなどの実践的ですぐに使える実践的なマーケティング手法について解説していきます。
- 「実践コンサルティングセールス」
自分の商品・サービスを売るのではなく、自分自身を売り、顧客に貢献すること、
顧客の経営上・業務上の課題に貢献すること、顧客の使命、戦略、業績、商品・サービス、業界を知り、問題解決を行うこと、自分自身や自分の商品・サービスの価値を再発見し、そこから顧客とのパートナーシップを構築すること、戦略スキルと心理学・行動科学により、「稼げる力」と「人間力」を高めていくことを目的とした内容です。
- 「ヒーローズジャーニー」
NLPのヒーローズジャーニー手法と独自の行動科学理論及びコーチング実績から生み出された手法であり、自己受容を強化した上で、個人と企業に自己変容を起こすことを目的とした内容となっています。
まずはお気軽に以下の連絡先までご相談いただければ幸いです。
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日本経済新聞
誕生
立教大学ビジネススクール教授着任のお知らせ
日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
この度、立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授に着任し、下記の通り研究室にも入室いたしました。
http://www.rikkyo.ac.jp/sindaigakuin/bizsite/professor/
従来にも増してインプットを増やし、世界観・歴史観・人間観等含め様々なことを貪欲に吸収し、教えることの専門家である前に、自分自身が学ぶことの専門家でありたいと考えております。
ビジネススクールでの教鞭も加わりますが、引続き経営コンサルティング等の仕事においても、人や組織の「道(=ミッションやビジョン、在り方の目標)を昭らす」という自らのミッション実現に愚直に努力していきたいと考えています。
未だ若輩者ではありますが、これを機会に、さらに学ぶことや成長することの楽しさを伝えられるような人間でありたいと切望しております。
どうぞ引続き末永くよろしくお願い申し上げます。
最後に、益々のご発展とご健勝をお祈りしております。
ありがとうございます。
立教大学ビジネススクール教授
田中 道昭
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科
田中道昭研究室:
15号館9階M916号
研究室直通電話:
03-3985-4524
携帯電話: 090-5764-4720
メールアドレス:
m.tanaka@jsf-gr.com
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『アマゾンが描く2022年の世界』を出版いたしました。
『アマゾンが描く2022年の世界』出版のお知らせ
本日11月18日、PHP研究所より『アマゾンが描く2022年の世界―すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」』(PHPビジネス新書)を出版いたしました。
この本は、アマゾンを対象に、自分自身の専門分野である企業戦略&マーケティング戦略及びミッション・マネジメント&リーダーシップを集大成させてつくり上げた1冊です。
アマゾンが事業展開しているEC,小売、流通、物流から始まり、AI、ビッグデータ、IoTなどの最先端分野に至るまで様々な業種をカバーしていますが、同社に対してミッション・ビジョン・バリューから経営戦略、マーケティング戦略、さらにはリーダーシップ×マネジメントという様々な切り口で分析しているところが特徴ではないかと思っています。
本書でも活用した独自の「5ファクター・メソッド」は、これまでニューズウイーク日本版オンラインの連載において、スイスやイスラエルの国家としての競争戦略としての分析にも披露してきたものです。
「アマゾンの大戦略」に続いては、老舗のアップル専門IT誌において、「アップルの大戦略」についての対談を連載で行うことなども決まっております。
自分自身のライフワークとしても、国家や国家を凌駕するようなメガテック企業の競争戦略の分析を継続していきたいと考えております。
引き続きどうぞよろしくお願い申しあげます。
田中道昭
P.S. プレジデントオンライン×PHP:『アマゾンが描く2022年の世界』連載2回目
PHPビジネス新書刊行に先行してのプレジデントオンラインでの同タイトルの3回連載第2回目は、「ユニクロを脅かすアマゾンの"超個客主義"」
http://president.jp/articles/-/23638
主な内容は以下の通りです。
*アマゾンがユニクロの脅威になる
*「メーカーとしてのアマゾン」という新たな顔
*常にパイオニアとして新たな商品を提供する
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