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より有利な銀行借入を行うためのポイント

多くの中小企業にとっては、引き続き銀行借入が最も重要な資金調達の手段です。銀行の経営環境も大きく変化し貸出先の選別が進められてきているなか、より有利な銀行借入を行っていくためには、銀行による格付制度の仕組みを理解した上で、自社の格付を向上させていくことが重要です。

銀行の貸出審査の仕組みを理解する

多様な資金調達の手段を確保していくことがより重要となってきているなかで、多くの中小企業にとっては銀行借入が唯一のものとなっているのも事実です。より有利な銀行借入を行っていくためには、銀行と会社間に存在している情報の非対称性を克服していくことが重要ですが、まずは銀行の貸出審査の仕組みを理解することがその第一歩となります。

銀行は取引先の格付を行っている

格付というと大企業向けの制度だというイメージをお持ちの方が多いのですが、銀行では従来からの審査制度を大幅に変更して取引先に対して行内格付を付与する審査体制を導入しています。また最近では、この格付にしたがって貸出金利の水準や貸出対応を決定するようになってきており、これらの仕組みをよく理解しておくことが企業の経営者や財務担当者の喫緊の課題となっています。

格付の仕組みを理解する

多くの銀行では、定量分析項目と定性分析項目からなるスコアリング点数の合計点と総合評価にもとづき、取引先を10前後の格付に分類しています。格付制度が導入されたばかりの頃はスコアリング合計点だけで機械的に格付を決定していた銀行も多かったようですが、その後金融庁の行政指導もあり、現在では定性面も踏まえた総合評価が重視されるようになってきています。もっとも、実際の格付結果をみると、定量分析項目が最終的な格付の水準により大きな影響力をもっていることに十分留意することが重要です。

定量分析(財務分析)の仕組みを理解する

会社の定量分析を行う上で業界固有の財務指標が考慮される一方で、基本的には業種間で分析手法に大きな違いはないことをまずは認識してください。定量分析は、会社の決算書等から安全性、収益性、成長性、返済能力等が財務評価されることを主な内容としています。銀行による格付はいわゆる「信用(力)格付」であり、対象となる会社が十分な借入金返済能力を有しているのかという点が最終的に最も重視されることとなります。特に重要な財務変数としては、営業からのキャッシュ・フロー、その源となる収益性、債務の残高と支払金利の水準、資産の価値、不測の損失を吸収するための自己資本が挙げられます。また短期の支払能力を検討する上では、流動性に伴う各種の財務変数、特に流動資産の水準が重要となります。

定性分析(事業分析)の仕組みを理解する

会社に対する定性分析としては、経営者の資質・能力、経営戦略、立地環境、経営管理体制等の要因が総合的に評価されます。このなかでも、対象となる会社の経営陣がどのような経営理念のもとに運営し、地域のなかでどのような役割を果たそうとしているのかや、経営陣のマネージメント能力が極めて重要な評価項目となります。またこのようなことからも、銀行取引を財務担当者任せとせずに、経営者自らが率先して積極的な対応をしていくことが強く求められます。格付分析は定量分析と定性分析からなりますが、実際にはこれらを明確に区別して分析を行うことは極めて困難です。これは会社の財務データには必然的に事業環境が反映されていることからも明らかですが、最終的な格付を大きく左右するのは経営者自らの対応方針であることを肝に銘じる必要があります。

格付向上のポイントを理解する

銀行の格付スコアリング・システム上影響力が大きい項目としては、自己資本の水準、借入金の水準、収益性、流動性等が指摘されます。このようななかで、実体的にも理論的にも最も重要な指標を二つだけ指摘すると、自己資本の水準とキャッシュ・フロー創出力(そして両者を加味した各種の財務指標)になります。自己資本は、債務返済のための源資並びに各種リスクのバッファーとして極めて重要なものです。キャッシュ・フローは、債務返済のための一元的な源資として重視されており、特に営業からのキャッシュ・フロー(より厳密には特殊要因が除かれた金利前、減価償却前、税引前のもの)がより重要です。したがって、まずはいかに自己資本を充実させていくか(借入金を圧縮していくか)とキャッシュ・フロー重視の経営に転換していくかが格付向上のポイントです。また上記の定性項目に大きな強みを有する点があれば、これを積極的に銀行側にアピールしていくことも極めて有効です。

キャッシュフロー経営を目指す

銀行の格付は借入金返済能力の審査という点に本質があることから、借入金返済の源資となるキャッシュ・フロー創出力は極めて重要です。企業においては、これまでキャッシュ・フロー表の作成自体が求められてこなかったことから、そもそもキャッシュ・フロー経営の重要性への理解が不十分なのも事実です。利益はあくまでも計算上の儲けを示したものに過ぎないこと、企業の活動は実際にはキャッシュ・フローをベースに行われていること、利益よりもキャッシュ・フローの方が客観性が高いこと、会社全体の企業価値に直結する指標であること、病医院側では提出していなくても銀行側では入手資料から算出している重要指標であることなどから、一早くキャッシュ・フロー経営を経営戦略の中核に導入することが求められます。

情報開示を積極的に行う

銀行と会社間に存在している情報の非対称性を克服し、より有利な銀行借入を行っていくためには、相手のことを知ることに加えて自分のことをよく知ってもらうことが同時に必要です。銀行の貸付担当者からよく聞かれるコメントには、「この会社は内容がそもそもわからない上に他社に比べて情報開示が極端に少ない」というものがあります。少なからずの中小企業が社長の個人組織の延長線上で運営されているなか、そもそも情報開示という点においては外部はおろか社内関係者に対しても不十分というのが現状かと観察されます。もっとも、銀行側は情報が不足しわからない分だけ保守的な評価をせざるを得ず、その分だけ格付の水準が抑えられてしまっているという事実を認識する必要があります。

コーポレートガバナンスの確立を目指す

コーポレートガバナンスとは、健全な経営を行っていくための企業統治の仕組みです。中小企業ではこれまでコーポレートガバナンスの必要性が重視されてきませんでしたが、企業を巡るステークホールダーとの問題が複雑化してくるなかで、他社に先駆けたコーポレートガバナンスの確立がより有利な銀行借入を行っていくためにも強く求められています。上記の項目でいえば、社内の管理体制確立や積極的な情報開示等が、コーポレートガバナンス確立のための重要な施策の一部となります。即ち、より有利な銀行借入を行っていくためには、高度な経営・管理能力とそれを外部に明確に説明していく能力が不可欠なのです。

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多様な選択肢から最適な資金調達を構築する

中小企業オーナー経営者にとって、設備投資を伴う資金調達は、相続対策や節税対策等他の経営課題と取り組む絶好の機会です。自社や対象事業の目的を明確化させた上で、多様な選択肢からそれらの目的を達成していくのに最も適したものを選ぶことが大切です。

自社や事業の目的を明確化させることが最も重要

会社経営を巡っては、もとより顧客、債権者、仕入先、従業員、行政及び規制官庁等様々なステークホールダーが様々な目的をもって存在しています。今後更に事業を拡大し、外部からも積極的に経営面でのサポートや資金を導入していくこととなると、これらの関係当事者との利害の調整はますます重要となります。このようななかで、会社側にまず求められるのは、いかに外部からの資金を確保して事業を拡大させていくかだけではなく、今後のコーポレートガバナンスのあり方も含めて、自社や事業の目的を明確化させるとともに、これらの目標を達成していくためにはどのような事業計画や資金調達が最適であるのかを真剣に検討することです。即ち、資金調達の多様化や手法が先にありきではなく、あくまでも自社や事業の目的を達成していくことが先にありきであることを再認識する必要があります。

資金調達手法の本質を理解する

中小企業の資金調達手法を巡っては、、売掛債権証券化、不動産証券化など一般の経営者にとっては目新しいものが雑誌や書籍に紹介されています。これらはもともと大手企業では一般的となっているものが多いなかで、中小企業分野においては未開拓のものが多く、また業界で実際の案件実績を有しているプロフェッショナルも極めて少ないことから、十分な理解が極めて不足しています。特に大きな問題であるのは、中小企業分野では新種となる資金調達手法が十分な理解や説明がなされないまま言葉だけが一人歩きしてしまい、何か万能なマジックのように誤解されている傾向も出てきていることです。一方で、これらの資金調達手法は、他の業種や他の先進国では一般的となっているものも多く、本質を理解した上で活用を検討していけば、大手企業にとどまらず一般の中小企業にも活用可能なものがあるのも事実かと思います。特に企業の経営者においては、自社や事業の目的を明確化させていくのとともに、これらの資金調達手法の本質を理解していくことがまずもって重要となります。

多様な選択肢から状況に適したものを選ぶ

新たな資金調達手法の本質を理解するのと同時に重要なことは、これらはあくまでも手段であり、その活用に当たってはそれぞれの状況に適したものを選ぶ必要があるということを理解することにあります。ここでいう状況には、会社自体の規模、対象事業の規模、対象事業の収益性、本業とのシナジー効果の有無等が指摘されます。金融機関やコンサルタントによっては、対象となる企業がおかれている状況を十分に把握せずに特定の商品やサービスをセールスするところもあるようですが、あくまでこれらは手段であることを十分に認識することが極めて重要です。

多様な資金調達手段の詳細についてご興味がある方は、当社のグループ企業である株式会社日本ストラテジック・ファイナンス総合研究所HPをご覧ください。

資金調達を経営戦略全体のなかで構築する

中小企業にとって設備投資を伴う資金調達は他の経営課題を同時に解決していく絶好のタイミングです。特に多くの中小企業では法人資産と個人資産が混在していることや経営者の世代交代の時期を迎えていることからも経営戦略の全ての側面を検討する必要があります。通常は別々のものと考えられていますが、設備投資を伴う資金調達とともに考慮すると大きなメリットが得られる可能性があるものには、事業承継・資産承継等の相続対策、不動産の有効活用、節税等が指摘できます。このようなことからも、資金調達に際してはコーポレート・ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス、プライベート・バンキング等ファイナンスの全ての側面に強い実績とノウハウを有するアドバイザーを選択していくことが重要です。

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「共感ミッション策定」クライテリア

①使命や価値観が明確であること

合理的な使命や価値観は、顧客・従業員・株主からの引力・求心力・共感性の源泉となることから、「使命や価値観が明確であること」がまずは重要です。

②社会貢献や社会責任が意識された使命や価値観であること

社会貢献や社会責任を使命としているかが、企業の内外の人達が共感性をもち、支援していこうとするかの意識の源泉です。

③企業・経営者・従業員の使命や価値観が一致していること

 ビジネスに対して情熱と自信を持ち続けるためには、個人的な使命感とビジネスの使命感が一致することが必要です。

④実際のビジネスが使命や価値観に忠実であること

 顧客への引力が強く、従業員への求心力が高く、株主から共感性が高いのは、使命や価値観に忠実なビジネスです。

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不動産事業プロデュース手法

事業プロデュースにおいて重要なことは、総合的かつ包括的に対象事業の全体と部分が見えていること、スタートからフィニッシュまでプロセスが見えていること、ゴールのイメージが明確に見えていることなどです。

当社では、お客様における戦略と戦術の実行をサポートしています。その一環として、様々な事業のプロデュースや商品・サービスのプロデュースを行っています。

このホームページにおいては、そのなかでも商業施設やエンターテインメント施設などを対象とする不動産事業プロデュースの手法をご紹介していきます。

I.プロデュースの意義

  1. プロデュースの意義
  2. プロデューサーとしての総合力
  3. プロデューサーの視点
  4. プロデューサーとしてのポジション

II.不動産事業プロデュースの手法

  1. 「プロデューサー」としての不動産マーケットにおける最上位のポジショニング
  2. 不動産プロデュースの意義
  3. 不動産プロデュースの全体構造
  4. 不動産事業プロデュースの主要ファクター
  5. 不動産プロデュースのための法的規制の基礎知識
  6. 建物ボリュームの算出
  7. 建築の配置計画
  8. 動線の計画
  9. 建築計画の視点
  10. 建築計画の主要ポイント

III. 価格算定・採算分析事例

  1. 価格算定の手法
  2. 主な前提条件
  3. 賃料予測
  4. 価格算定
  5. 採算分析
  6. 近隣賃料・売買事例

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はじめに:なぜ「繁盛魚屋に学ぶ業績改善」なのか?

 不況でも儲けている繁盛魚屋とは?

  当社では、これまでたくさんの業種の会社に対して経営コンサルティングを提供してきましたが、ビジネスにおいては、経済全体が好況の時に調子がいい業種、不況の時にでも比較的堅調な業種があります。

 

 現在のような不況期においては、上場企業のデータなどを見ると、小売業全体の売上が低迷しているなかで、食品スーパー会社は比較的健闘していることがわかります。

 

 そのなかでも、特に「生鮮3品」と呼ばれている鮮魚・青果・精肉の売上は底堅い動きとなっています。

 

 これは、食品のなかでも、これらの3部門が特に生活必需品的な商品であること、素材商品であり余分なマージンが上乗せされていないこと、不況で外食が減り家庭で料理するケースが増えていることなどが影響しています。

 

 それでは、不況においても底堅い売上を上げている生鮮部門のなかで、このHPでの「食材」である鮮魚に目を向けて考えてみることにしましょう。

 

 不況でも儲けている繁盛魚屋とはどのようなお店でしょうか?

 

 ここで、「儲けている」というのは、ビジネスにおいては「利益を上げている」ということと同じ意味になります。

 

お店で商品を販売していくことで獲得する売上高は、そのまま利益になるわけではありません。

 

単に売上が上がっているだけではなく、会社を維持していくのに支払わなければならないいろいろな費用を支払った上で、利益が残っていることが「儲けている」ということになります。「売上―費用=利益」という利益の算式の結果がプラスであることが「儲けている」ということなのです。

 

 不況期には、値段が安いものが人気を集める傾向にあります。

 

 それでは、「不況でも儲けている繁盛魚屋」とは魚の値段を安くして売っているお店のことでしょうか? 

 

不況なのに売価を下げて売っていったら、利益はジリ貧にならないのでしょうか?

 

それとも「不況でも儲けている繁盛魚屋」とは、何か他に商売の秘訣を持ったお店なのでしょうか?

 

以降で詳しく見ていくように、「不況でも儲けている繁盛魚屋」には、大手スーパーの鮮魚部門ではなく、街の鮮魚専門店のようなところが多いのが特徴です。

 

大手スーパーが作り上げた「仕組み」に乗らないことを研究して、むしろその「仕組み」に乗らないことをまとめ上げて独自の「仕組み」にしていること。
自分が勝てる土俵を探し、自分が勝てる土俵で勝負していること。
「何をしないか」にこだわって勝負していること。
自分の強みを徹底的に磨き続けていること。

 これらの点も、「不況でも儲けている繁盛魚屋」の共通点となっています。

 魚屋の利益構造はどのようになっているのか?

 このHPでは、不況でも儲けている繁盛魚屋を通して、経営学や業績改善のエッセンスを学んでいきます。

 繁盛魚屋のノウハウをいろいろとご紹介していく前に、まずは魚屋の利益構造を見ていきましょう。

利益とは、売上から費用を引いた残りでした。

利益には、費用を会社全体のどこまでのコストを含めて考えていくかで、いくつかの種類があります。

 このHPで最低限おさえておいていただきたい知識としては、費用は原価と経費に大きく分かれること、売上から原価を引いた利益を売上総利益あるいは粗利益といい、そこからさらに経費を引いた利益を営業利益ということです。そして、原価とは、商品を仕入れたり製造したりするのに必要な費用のこと、経費とは、商品を売るのに必要な販売管理費のことをいいます。

 魚屋の利益構造も、上記のように、売上から魚を仕入れて切り身などとして売るために必要な費用である原価を差し引いたものが粗利益となり、そこから販売管理費を差し引いたものが営業利益となります。

 それでは、魚屋の利益構造を、魚という商品レベルで見ていくとどのようになるでしょうか?

 魚の利益構造は、魚の販売価格と魚の原価との差額で決定されます。魚の販売価格が原価を上回った分が利益となり、下回った分が損失となります。この段階の利益が粗利益です。

 魚の利益構造の大きな特徴の一つは、原価が次のように3つに分けられることにあります。

 まず始めに、魚の仕入価格があります。ある魚を1匹100円で市場から仕入れてきたとしましょう。この100円のことを商品原価といいます。商品原価の引下げには、「バイヤーの技術」が重要です。

 2番目には、歩留まり原価があり、これが魚屋独特の費用です。100円で仕入れた魚も、頭を外し、エラやワタを除き、さらに中骨を外して切り身にしていくと、販売可能な生肉の部分は限られてきます。もともとの魚全体に対して、販売可能となる部分の割合のことを歩留まり率といいます。そして、販売可能な部分だけで、もともとの魚1匹の仕入原価をまかなったと仮定した場合の原価が歩留まり原価。例えば、歩留まり率が80%の魚は、その歩留まり原価は、100円÷0.80で125円となります。歩留まり原価の引下げには、「職人の技術」が重要です。

 3番目が製品原価です。魚を実際に販売していくためには、トレイを用意したり、刺身であればツマも必要となります。それらの費用を含めた原価が製品原価です。15円のトレイを使って魚の切り身を売っていくとすると、その製品原価は140円となります。製品原価の引下げには、「ものを大切にする意識」が重要です。

 魚の利益構造は、以上の3つの原価から構成されている製品原価140円に対して、製品である魚の切り身の販売価格をいくらで設定していくかで決定されます。販売価格の設定に当っては、製品原価を回収しなければならないだけでなく、本社スタッフのお給料などの費用も含めて考えたり、お店の利益を考えたりして決定していく必要があります。

 お店としては、後で述べる魚が売れ残った場合の廃棄ロスの見込みなども価格に転嫁して、できるだけ高い価格で魚を売っていきたいところです。もっとも、お客様が納得するような水準に価格をおさえることができなければ、結局は魚は売れ残ることになります。製品価格を合理的に決定する技術を「値入れ技術」といいます。HP後半でも詳しく見ていきますが、値入れには、「お客様を大切にする意識」が重要です。

魚屋の経営で重要なポイントは何か?

  経営において、最も重要なポイントのことをキーサクセスファクター(「KSF」)といいます。お客様を引き寄せ、競合他社と戦っていく上で、最も重要となる成功要因のことです。

 それでは、魚屋におけるKSFは何でしょうか?

 それは、魚を商品として見た場合の大きな特徴である鮮度です。

 鮮度とは、商品がどれだけ新鮮なのかということ。

鮮魚の最大の特性は、変質や腐敗がしやすいこと。魚が市場からお店の到着し、実際にお客様に販売されるまでの経過時間や管理状況などの鮮度管理が、魚屋のKSFなのです。

 魚屋のビジネスにおいては、鮮度はお客様を引き寄せるポイントとなる他、これを損なうと商品がたちまち売れなくなってしまうという生命線なのです。魚屋では、加工された一部の商品を除くと、ほとんどの商品がその日に売り切らないと売り物にはなりません。鮮度が損なわれると売り物にはできないため、廃棄しなければいけなくなります。これを廃棄ロスといいます。その日に売り切らないと廃棄ロスが発生してしまうということが、魚屋の経営においては最も重要なポイントの一つです。

 魚を加工する技術が利益を大きく左右するということも魚屋の経営において重要なポイントです。

 魚の利益構造で見たように、魚の原価には歩留まり原価という特殊なものがありましたよね。これは、魚をさばいて切り身や刺身にして販売していくのに、商品としては使えない部位は処分しなければならないことに起因している原価です。

 実は、1匹の魚からどれだけのグラム数の切り身や刺身を作れるのか、どれだけ販売可能な生肉部分を残せるのかは、魚をさばく職人の技術に大きく依存しているのです。「1匹1キログラムの魚を腕のいい職人が調理した場合には700グラムの生肉が残り、新人の職人が調理した場合には500グラムの生肉しか残らない」と業界ではよく言われています。

 魚の販売価格が生肉のグラム当りで同一だったとすると、どれだけの生肉を調理した後で残せるかがお店の利益に直結するのです。技術の低い職人が多い魚屋は、結局は仕入価格が高止まりしているのと同じくらいお店の損益上はインパクトが大きいわけです。

シンプルさや明快さが人や会社を動かす

 みなさんは、今の世の中を見て、以前よりもシンプルになってきたのか、複雑になってきたのか、どちらだと感じますか? みなさんの会社の状況はいかがでしょうか?

 現在のビジネス環境においては、インターネットの浸透に伴う情報量の増大などによって、様々な社内外のシステムがより複雑になってきています。商品を見ても、ビデオ、パソコン、携帯電話など、どの電化製品も機能や種類が複雑化しています。世の中が一見便利になった一方で、複雑になってきたと思う方が多いのではないでしょうか。

「シンプルさや明快さが人や会社を動かす」

ビジネス環境や商品の機能などが複雑になればなるほど、シンプルさや明快さが人や会社を動かす。

これは、私がオーナー企業向けに戦略コンサルティングを行うようになって、経験的に通感していることです。

 

「共感性×納得性」が人や会社を動かす

それでは、どうして「シンプルさや明快さが人や会社を動かす」のでしょうか?

それは、人間の「右脳×左脳」という頭脳の構造にも関係していると思います。

 経営コンサルティングの仕事で、クライアント企業の中に入り込んでいつも思うのは、人はシンプルで明快なストーリーを提示されないと、なかなか簡単には動かないということです。

 まずその企業において、どのような原因から問題が発生しているのか、そしてどのようにしたら利益を拡大していくことができるのかは、たくさんの要因が複雑に絡み合っています。

一方で、物事が複雑なままでは、多くの社員は自分がどのように動いたらいいのかわからないでいます。

 そこで重要となるのが、複雑な状況をシンプルで明快に説明していくこと。その上で、シンプルで明快なアクションプランを提示していくことです。

 そして、ここでさらに重要なのは、「シンプルで明快」であるというのは、発生している問題の本質や要点を絶対に外していないものであること。一人一人のやるべきことが明確になっていることや、一人一人のレベルにまで「落として」いくことも大切です。

人間の左脳は、ロジックや論理性をつかさどっています。左脳に対しては、シンプルで明快なロジックで物事を説明してあげることで納得感が生まれてきます。いわゆる「腑に落ちる」という感覚ですね。この感覚が生まれてくると、人は自発的に行動しようとする意欲が湧いてきます。

一方で右脳は、クリエイティビティーや感情をつかさどっています。右脳に対しては、シンプルで明快なストーリーで説明してあげることで共感が生まれてきます。共感が生まれてくると、人は自分のためだけではなく、共感を持った相手や他の人達のためにも頑張ろうという意欲が湧いてきます。

このように、シングルで明快なストーリーを提示することによって、「共感性×納得性」が人や会社を動かしていくのです。

それは、「自分自身で納得していることなので頑張ろう」という意識と、「自分が共感したことなので、他の人達のためにも頑張ろう」という意識とが掛け算になっているから強力なのです。

 

なぜ「繁盛魚屋に学ぶ業績改善」なのか?:「経営の縮図」としての繁盛魚屋

会社は、上場企業でも、中小企業でも、一つ一つの商品や事業の集合体です。会社として多くの商品や事業が集合してしまうとわかりにくくなる傾向がありますが、一つ一つに分けて考えてみると、「シンプルさや明快さが人や会社を動かす」ということがよく見えてきます。

経営で起きる問題というのは、企業規模の大小や業種にかかわらず、面白いように共通しているからです。

このようななかで、多くの実戦事例のなかで、繁盛魚屋をこのHPの題材に選んだのは、鮮魚がみなさんにとっても最も身近でとっても好きな商品の一つであると思ったからです。「人・物・金」という経営の全ての側面の本質的な部分が凝縮されているものだとも思います。

 特に、「不況でも儲けている繁盛魚屋」の秘訣を考察してみると、企業規模の大小や業種にかかわらず、みなさんの会社でも「不況でもどのようにしたらより儲けられるか」ということの参考になるものだと思います。

鮮魚部門は、食品スーパーにおいては、集客力は高い部門である一方で、なかなか利益が出にくい部門となっています。これは、鮮魚の生命線でもある鮮度管理の難しさ、商品の多様性やアイテムの多さなどによるものです。つまりは、すぐに売り切らなければならないという鮮度管理の難しさ、魚種の多さ、扱い基準の多様さなどから、すぐに廃棄ロスが出てしまうからです。だからこそ経営学の重要なエッセンスがいろいろと凝縮されているのです。

 

経営改善には様々な分野があり、それぞれの分野においても様々な手法があります。そこで、このHPにおいては、当社がオーナー企業向けの戦略コンサルティングにおいても実際によく使っている手法を中心に紹介することにしました。それぞれの手法を「シンプルに明快に」説明していくこと、みなさんのビジネスの現場でもお使いいただけるように、できるだけ多くの事例を盛り込むこと。そんなことに腐心してできたのがこのHPです。繁盛魚屋の事例以外にも、いくつかの業種の会社が事例として登場してきます。「繁盛魚屋」を作り上げるノウハウを通じて、より多くの経営者のみなさんが業績改善のきっかけをつかんでいただけたら幸いです。

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業績改善のための3C分析

「3つのことを同時に見なさい」(3C分析)

繁盛魚屋を作っていくためには、「3つのことを同時に見なさい」と言っています。3つのことというのは、お客様、ほかの魚屋、自分のお店のことをいいます。

3つのことを同時に見なさい。

簡単なようで難しいのは、これらの3つを同時で見ること。同時に3つを見ることができれば、損が出ることはめったにない。損が出る場合は必ず3つのうちのどれかを見落としてしまっているからなのです。

なぜ「3つのことを同時に見なさい」なのか。 

以前、私のオフィスの近くにはタイ料理屋さんがありました。そのお店に初めて入ったときのことです。店内の印象は内装がモダンで、一見、タイというよりフレンチかなと違和感を覚えました。席についてメニューに目を通すと、トムヤムクンやガパオなどの定番メニューに混ざって、なぜかパスタやピザまでありました。おそらく近くの競合店を意識して、メニューの幅を広げようとしたのでしょうが、味も中途半端で、美味しいタイ料理を期待していた私は、がっかりしてお店を出たことがあります。

 皆さんもお店に入ったとき、「あれっ」と思った経験はありませんか。そのお店の雰囲気に似つかわしくないのに、流行店の真似をしているのを見て違和感を覚えた、といった経験です。
お客様に違和感を与えてしまったら、もちろんお店の集客力は弱くなります。魚屋の場合で考えてみても、なにか違うな、とお客様に思われていたら、次のような理由があるのではないでしょうか。

・ お客様とライバル店の研究はしているものの、自分のお店の強みではないことをしている魚屋。
・ ライバル店と自分のお店の研究はしているものの、お客様のことを見失ってしまった魚屋。
・お客様と自分のお店の研究はしているものの、ライバル店の動きに注目していない魚屋。

これらの3つが、魚屋が繁盛しなくなる典型的なパターンです。 お客様に何かが違うと思われてしまうお店には、3つのことが同時に見えていない場合が非常に多いのです。自分のお店のオリジナリティはなにか、強みはなにか、お客様はお店に対してなにを求めているのか、顧客ニーズはなにか、また、近くにある競合店はどんな強みで勝負しているのかを同時に見て、総合的に考え、分析していくことが、ビジネス成功の鍵といわれています。

「3つのことを同時に見なさい」は、3C分析の応用

 最初に「3つのことを同時に見なさい」、とお伝えしましたが、経営学ではそれを3C分析と呼んでいます。経営学や経営戦略にはさまざまなツールがありますが、その最も基礎的なツールが3C分析なのです。3Cとは、お客様・Customer、他の魚屋・Competitor、自分のお店・Company、この3つを英語表記したときの頭文字をとったものです。魚屋をさらに繁盛させるために、集客の戦略を考えるとき、3Cを整理してみると、お店の問題点が改めて浮き彫りになってくるのです。

3C分析は、とてもシンプルな考え方であるのと同時に、使いこなすのは難しい

といわれています。実際に企業が失敗している点を分析してみると、3Cのうち、どれか一つの分析が不十分だったというケースが多いのです。

たとえば、いま考えている企画がお客様のニーズを満たすものであったとしても、競合先の強みを知らず、競合先の方がより魅力的で優位なアイディアなら、せっかく考えた売れるための企画も台無しに終わってしまいます。大事なことは、3つのCを三位一体で分析すること。経営学の世界では、3つのCを三位一体で分析する3C分析のプロセスがとても重要なのです。

顧客、市場、競合を分析した結果、導かれた成功要因に対して、自分の会社の内部の分析から分かった成功要因との違いを見つけて、アクションを導きだすことができる、そのための有効なツールが3C分析です。

魚屋で実際に行われた3C分析

それでは、街の魚屋を題材にして3C分析を見ていきましょう。

大手スーパーの鮮魚部門は品揃えも豊富で価格も魅力的です。普通の街の魚屋では簡単には太刀打ちできません。大手スーパーでは全国レベルで大量仕入をしており、それが低価格で販売できる大きな要因となっています。

 このような状況のなかで、街の魚屋ではどのように大手スーパーの鮮魚部門に対抗していったらいいのでしょうか?

 ここで最も役に立つ経営手法が3C分析です。3C分析では、まずは自社、競合他社、顧客のそれぞれにおいて重要なポイントをリストアップしていきます。最終的に3つから5つくらいの重要なポイントに絞っていきます。ここで重要となるのは、絞っていくプロセスの前には、できるだけ多くの要因をリストアップした上で優先順位付けするということです。

 このお店では、まずは自分のお店の特徴について徹底的に自己分析し、最も重要と思われるポイントを3つに絞りました。それらは、「他のお店には負けない魚についての商品知識がある」、「お客様については顔と名前が一致するくらい親しく取引している」、「小さいお店である分、お客様に対してきめの細かい対応ができている」というポイントでした。

 競合他社についての分析は、いろいろと研究してみた結果、次の3点に集約

されました。それらは、「最も直接的に競合しているのは大手スーパーであること」、「大手スーパーでは品揃え豊富で価格も安いこと」、「一方で、コスト削減に力を入れていることから、商品もサービスも標準的になってきていること」の3点です。

 お客様についても徹底的に分析した結果、「お客様は景気低迷のなか低価格を求めている層が多いこと」、「その一方で、魚の需要やお客様のニーズも多様化してきていること」、「きめ細かいサービスを求めるお客様も根強く存在していること」がわかりました。

 ここからが、3C分析を行う上で最も見逃せないところです。3C分析の注意点は何だったでしょうか?

 そうですよね。3つのことを同時に見ていくことでしたね。

 それぞれのCの重要なポイントを同時に考えていくと、そこから導き出される戦略の方向性は以下のような感じになってくると思います。

 大手スーパーが標準的なサービス提供で十分に対応できていないきめ細かいサービスを求める消費者層に特化して、魚についての商品知識ときめ細かいサービスという強みを生かしたお店作りをしていくこと。

このお店では、戦略の方向性が3C分析で明確になったことから、さらに詳細な計画をこの本でも紹介するような手法を使ってつめていくことになります。特に次の章で紹介するSWOT分析を使って、自分のお店の強みを深堀りしていくのが効果的です。

 前にも述べた通り、3C分析は3つのことを同時に見て、そこから戦略の方向性を導くことが大切である一方で、なかなか3つを同時に踏まえるというのは難しいものです。

 とってもよくある失敗するパターンとしては、「ライバル会社がお客様にこんなことをやって流行っているからうちも会社でも同じようにやってみよう」といったケース。この魚屋のケースでいけば、「お客様の多くは低価格を望んでいて、大手スーパーの低価格販売もお客様に受けているので、うちでも価格を下げていこう」といった戦略を採用してしまう場合。大手スーパーは大量仕入に代表されるコスト削減ができているからこそ低価格で販売できるのであり、街のお店が単純に価格を下げたらまさに死活問題となってしまうでしょう。

 最後に強調しておきたいのは、どうして経営学において数え切れないほどの手法があるなかで、3C分析が最も重要と指摘されているかという点です。

それは、「自分を知ること」、「顧客を知ること」、「競合を知ること」が、ビジネスにおいての3大要因であるからなのです。そして、これらの3大要因を考えることがとっても大切であるにもかかわらず、意外とできていないことが多い。だからあらためて3C分析と言っているわけです。「3つのことを同時に見なさい」とは、万国共通、業種を問わず、会社の規模を問わず、とっても大切なことなのです。

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