最終的
商業施設の売上方程式
商業施設の売上方程式
売上方程式とは、「売上=数量×単価」のように、売上を構成する要因を「因数分解」して、売上を分析する手法である。他の不動産物件タイプと大きく異なり、施設全体の売上が賃料収入においても最大の関心事である商業施設にとっては、売上方程式はバリューアップや再生戦略を実行する上でも極めて有用な手法である。
売上方程式で典型的なものとしては、「売上=顧客数×購買頻度×購買単価」、「売上=顧客数×購買単価×1回当りの購買個数×購買頻度」等が指摘される。本稿においては、商業施設の売上方程式について紹介していきたい。
売上方程式の意義
「売上=数量×単価」を基本的なものとする売上方程式において最も重要なのは、自社や対象プロジェクトにとって最適となるような「算式」を具体的に策定していくことである。売上方程式を活用する上での注意点は、「因数分解」した要因のなかで、何が最も売上に対して影響力が大きいのかを、実績データ等を基にして優先順位付けしていくことである。それぞれの要因について、自社の実績データ、競合他社のデータ、顧客のデータ等と比較して分析していくことが不可欠だ。売上方程式は、「1ヶ月に必要な売上個数はいくつか」、「1ヶ月に必要な来店客数は何人か」、「1ヶ月に必要な新規顧客数やリピーター顧客数は何人か」等、売上の主な要素の目標数値を設定する上でも重要なツールとなる。
売上方程式の応用例としては、営業活動の成果を分析するのに用いられる訪問方程式(「売上=総訪問件数×受注率×受注単価」)、費用面の分析に用いられる費用方程式などがある。より具体的な事例としては、レストラン等飲食の売上方程式は、「売上=顧客数×客単価×営業日数×店舗数」、「顧客数=席数×満席率×回転率」が基本形となっている。
商業施設の売上方程式事例
図表1は、商業施設の売上方程式の事例である。売上を来店客数と客単価に分解した後で、それぞれを「対象顧客数×来店頻度」、「品揃え等の魅力度×購買頻度」等に分解している。図表1のピラミッドのインフラストラクチャーを形成しているのは、本章第1回目(2008年2月号連載)でも紹介した「商圏分析の10大ポイント」である。実務的には、これらの10大ポイントの各要素も活用しながら、定性・定量分析を行い、対象となる商業施設に最も適した売上方程式を策定していくことになる。尚、来店頻度や購買頻度等、対象となる商業施設にどれだけ来店した上で、実際にそれだけの消費を行うか(いわゆる「コンバージョン・レート」)は、最終的に売上を上げていくには極めて重要な要素だ。これらの要素については、対象となる商業施設が対応する商圏のなかにおいて、「ファースト・チョイスの施設」(顧客が最もよく利用する施設)なのか、「セカンド・チョイスの施設」(顧客が2次的に利用する施設)なのかの施設ポジショニングによって、大きくその水準が異なるものであることを指摘しておきたい。
図表2の売上方程式は、売上を構成する要因のなかで、特に対象となる商業施設における潜在的な顧客層、同施設における顧客の滞在時間、顧客に対する販売価格に着目したものである。実務的には、これらの要因を、さらに対象となる商業施設における来店者の歩行距離、同施設内の動線、個別店舗への入店率、買い上げ点数、買い上げ店舗率等に分解して分析を行っていくことになる。
最後に、合理性の高い定性・定量分析を踏まえて策定された売上方程式は、どのような要因にどのような施策を実行していくことでより効果的な売上改善を果たしていくことができるかという実務上も明快なマーケティング・ロジックとなるものであることを強調しておきたい。
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客単価
マーケティング
顧客
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分解
売上方程式
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定量分析
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実際
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競合
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必要
データ
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順位
方程式
対象
要因
明快
ツール
来店頻度
バリューアップ
実行
紹介
定性
販売
競合他社
比較
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図表
www
プロジェクト
意義
連載
自社
レストラン
価格
回転率
指摘
来店
単価
定量
再生戦略
目標
再生
入店
滞在時間
営業
プロ
品揃
点数
point
動線
水準
実績
ポジショニング
最後
他社
来店客
顧客数
購買
要素
効果的
客層
不可欠
バリュー
売上改善
影響
販売価格
売価
対応
注意
何人
効果
ストラクチャー
具体的
距離
回目
構成
設定
数量
顧客層
着目
最適
全体
最終的
典型的
施策
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満席率
最大
時間
タイプ
新規
施設全体
merging
応用
歩行距離
店舗数
月号
消費
ロジック
基本的
リピーター
購買頻度
頻度
新規顧客
算式
優先
実務的
成果
魅力度
強調
合理性
利用
魅力
訪問件数
来店者
活動
受注
本章
対象顧客
タイ
優先順位
物件
購買単価
潜在的
訪問
基本
件数
ストラク
形成
優先順位付
影響力
チョイス
実務
因数
不動産物件
sr
ファースト
受注率
商業施設における立地の重要性
立地の重要性を巡る問題意識
欧米での不動産ビジネスにおいては、不動産のミクロ的要因としては、「ロケーション、ロケーション、ロケーション」(「一にも二にもロケーション」という意味)と、立地条件が最も重要であることが強調される。本邦でも、収益還元法の下では初めてのマーケットの下落局面を経験しているなかで、立地条件の違いで物件価格の下落幅が大きく異なることを目の当たりにして、立地条件の重要性が再認識されている。
このように、感覚的に立地条件の重要性は実務家の誰もが認識している一方で、理論的かつ実践的に立地条件を理解しているプレイヤーは少なく、この点も現在のマーケット下落局面において明暗を分ける大きな要因となっている。本稿では、不動産の物件タイプのなかでも特に立地条件が重要となっている商業施設の立地を考察していくことで、広く不動産全般の立地条件についての考え方の指針を示していくことにしたい。
立地条件の重要性
図表1は、本章においてこれまで何度か紹介してきた「商業施設の売上方程式」である。今回の方程式は、当社グループでも実務的に最も多用しているものの一つであり、売上を「客数×客単価」に分解した後、「客数」を「来店客数×買上率」に分解、さらに「来店客数」を「通行客数×来店率」に分解していくことで、立地条件を定量的に検討することが可能になっている。
図表2は、図表1の売上方程式のなかで、特に通行客数や買上率に着目して「因数分解」したものである。対象となる商業施設における「客数」の最も基本的な「分母」となるものは、図表2の通り、「通行客数」である。消費者が、対象となる商業施設や物販・飲食等の個店を認識し、実際に立ち寄り、最終的にそこで商品・サービスを買上げるか否かは、これらの店舗前を通行する客数(郊外店舗等の場合には車での通行量)が基本になっているわけだ。ここでは、対象となる店舗前を通行した消費者(「通行客」)のうち、実際に同店舗を視認した消費者を「視認客」、さらに同店舗に入店した消費者を「入店客」、さらに同店舗で実際に商品・サービスを買上げた消費者を「買上客」と定義している。これらの関係に着目して数量的なデータとしたものが、「通行客数」、「視認率」、「入店率」、「買上率」等である。この内、本稿のテーマでもある立地条件の根幹を成すものが、「通行客数」や「視認率」である。図表2でも示したように、「入店率」、「買上率」、「来店頻度」等は、立地戦略よりは店舗戦略やマーケティング戦略に属する内容であり、詳細は別稿において紹介していきたい。
立地条件の特徴
このように、立地条件を決定付ける最も重要なファクターは対象立地における通行量である。商業の分野においては、特に通行量は最重要視されており、売上の8割程度が通行量で決定されるとも言われている。実際に定量分析してみると、業態によっては、店舗前通行客数の違いが、そのまま売上の違いに比例する個店も少なくない。
図表1に戻って、立地条件の構成要素を考察してみると、商圏人口(連載48回ご参照)、視認性、店舗構造が指摘される。視認性については、徒歩での来店が中心となる繁華街店舗と車での来店が中心となる郊外店舗とでは大きく定義が異なることに注意が必要だ。店舗構造においては、立地条件という側面からは、間口の広さが最も重要であり、繁華街店舗の場合には店舗全体を認識できる範囲、郊外店舗の場合には駐車場の入り口の広さが間口の広さに相当する。間口の広さは、個店で見た場合には特に重要であり、同じ立地における同じ面積の店舗であっても、間口の広さによって実際に入店する人数が異なることにも注意が必要だ。
立地選定のポイント
図表1.「商業施設の売上方程式」
図表2.「客数」の「因数分解」図
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内容
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問題
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来店率
指摘
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意識
来店
構造
単価
業態
人口
定量
定義
視認性
テーマ
入店
決定
収益
point
条件
面積
来店客
範囲
要素
駐車場
視認率
グループ
考察
注意
店舗戦略
間口
立地戦略
経験
中心
徒歩
今回
詳細
ロケーション
関係
側面
現在
通行客数
構成
買上
数量
検討
認識
着目
全体
最終的
本稿
感覚
タイプ
merging
ファクター
分野
参照
消費
個店
通行客
通行
基本的
実践
実践的
頻度
最重要
実務的
強調
可能
本章
郊外
タイ
重要視
物件
人数
店舗構造
問題意識
同店舗
買上客
理論
視認
基本
店舗前通行客数
比例
明暗
入店客
決定付
郊外店舗
実務
因数
多用
下落局面
sr
理論的
店舗前
店舗全体
相当
再認識
対象立地
収益還元法
繁華街店舗
ミクロ
より有利な銀行借入を行うためのポイント
多くの中小企業にとっては、引き続き銀行借入が最も重要な資金調達の手段です。銀行の経営環境も大きく変化し貸出先の選別が進められてきているなか、より有利な銀行借入を行っていくためには、銀行による格付制度の仕組みを理解した上で、自社の格付を向上させていくことが重要です。
銀行の貸出審査の仕組みを理解する
多様な資金調達の手段を確保していくことがより重要となってきているなかで、多くの中小企業にとっては銀行借入が唯一のものとなっているのも事実です。より有利な銀行借入を行っていくためには、銀行と会社間に存在している情報の非対称性を克服していくことが重要ですが、まずは銀行の貸出審査の仕組みを理解することがその第一歩となります。
銀行は取引先の格付を行っている
格付というと大企業向けの制度だというイメージをお持ちの方が多いのですが、銀行では従来からの審査制度を大幅に変更して取引先に対して行内格付を付与する審査体制を導入しています。また最近では、この格付にしたがって貸出金利の水準や貸出対応を決定するようになってきており、これらの仕組みをよく理解しておくことが企業の経営者や財務担当者の喫緊の課題となっています。
格付の仕組みを理解する
多くの銀行では、定量分析項目と定性分析項目からなるスコアリング点数の合計点と総合評価にもとづき、取引先を10前後の格付に分類しています。格付制度が導入されたばかりの頃はスコアリング合計点だけで機械的に格付を決定していた銀行も多かったようですが、その後金融庁の行政指導もあり、現在では定性面も踏まえた総合評価が重視されるようになってきています。もっとも、実際の格付結果をみると、定量分析項目が最終的な格付の水準により大きな影響力をもっていることに十分留意することが重要です。
定量分析(財務分析)の仕組みを理解する
会社の定量分析を行う上で業界固有の財務指標が考慮される一方で、基本的には業種間で分析手法に大きな違いはないことをまずは認識してください。定量分析は、会社の決算書等から安全性、収益性、成長性、返済能力等が財務評価されることを主な内容としています。銀行による格付はいわゆる「信用(力)格付」であり、対象となる会社が十分な借入金返済能力を有しているのかという点が最終的に最も重視されることとなります。特に重要な財務変数としては、営業からのキャッシュ・フロー、その源となる収益性、債務の残高と支払金利の水準、資産の価値、不測の損失を吸収するための自己資本が挙げられます。また短期の支払能力を検討する上では、流動性に伴う各種の財務変数、特に流動資産の水準が重要となります。
定性分析(事業分析)の仕組みを理解する
会社に対する定性分析としては、経営者の資質・能力、経営戦略、立地環境、経営管理体制等の要因が総合的に評価されます。このなかでも、対象となる会社の経営陣がどのような経営理念のもとに運営し、地域のなかでどのような役割を果たそうとしているのかや、経営陣のマネージメント能力が極めて重要な評価項目となります。またこのようなことからも、銀行取引を財務担当者任せとせずに、経営者自らが率先して積極的な対応をしていくことが強く求められます。格付分析は定量分析と定性分析からなりますが、実際にはこれらを明確に区別して分析を行うことは極めて困難です。これは会社の財務データには必然的に事業環境が反映されていることからも明らかですが、最終的な格付を大きく左右するのは経営者自らの対応方針であることを肝に銘じる必要があります。
格付向上のポイントを理解する
銀行の格付スコアリング・システム上影響力が大きい項目としては、自己資本の水準、借入金の水準、収益性、流動性等が指摘されます。このようななかで、実体的にも理論的にも最も重要な指標を二つだけ指摘すると、自己資本の水準とキャッシュ・フロー創出力(そして両者を加味した各種の財務指標)になります。自己資本は、債務返済のための源資並びに各種リスクのバッファーとして極めて重要なものです。キャッシュ・フローは、債務返済のための一元的な源資として重視されており、特に営業からのキャッシュ・フロー(より厳密には特殊要因が除かれた金利前、減価償却前、税引前のもの)がより重要です。したがって、まずはいかに自己資本を充実させていくか(借入金を圧縮していくか)とキャッシュ・フロー重視の経営に転換していくかが格付向上のポイントです。また上記の定性項目に大きな強みを有する点があれば、これを積極的に銀行側にアピールしていくことも極めて有効です。
キャッシュフロー経営を目指す
銀行の格付は借入金返済能力の審査という点に本質があることから、借入金返済の源資となるキャッシュ・フロー創出力は極めて重要です。企業においては、これまでキャッシュ・フロー表の作成自体が求められてこなかったことから、そもそもキャッシュ・フロー経営の重要性への理解が不十分なのも事実です。利益はあくまでも計算上の儲けを示したものに過ぎないこと、企業の活動は実際にはキャッシュ・フローをベースに行われていること、利益よりもキャッシュ・フローの方が客観性が高いこと、会社全体の企業価値に直結する指標であること、病医院側では提出していなくても銀行側では入手資料から算出している重要指標であることなどから、一早くキャッシュ・フロー経営を経営戦略の中核に導入することが求められます。
情報開示を積極的に行う
銀行と会社間に存在している情報の非対称性を克服し、より有利な銀行借入を行っていくためには、相手のことを知ることに加えて自分のことをよく知ってもらうことが同時に必要です。銀行の貸付担当者からよく聞かれるコメントには、「この会社は内容がそもそもわからない上に他社に比べて情報開示が極端に少ない」というものがあります。少なからずの中小企業が社長の個人組織の延長線上で運営されているなか、そもそも情報開示という点においては外部はおろか社内関係者に対しても不十分というのが現状かと観察されます。もっとも、銀行側は情報が不足しわからない分だけ保守的な評価をせざるを得ず、その分だけ格付の水準が抑えられてしまっているという事実を認識する必要があります。
コーポレートガバナンスの確立を目指す
コーポレートガバナンスとは、健全な経営を行っていくための企業統治の仕組みです。中小企業ではこれまでコーポレートガバナンスの必要性が重視されてきませんでしたが、企業を巡るステークホールダーとの問題が複雑化してくるなかで、他社に先駆けたコーポレートガバナンスの確立がより有利な銀行借入を行っていくためにも強く求められています。上記の項目でいえば、社内の管理体制確立や積極的な情報開示等が、コーポレートガバナンス確立のための重要な施策の一部となります。即ち、より有利な銀行借入を行っていくためには、高度な経営・管理能力とそれを外部に明確に説明していく能力が不可欠なのです。
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同時
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成長
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貸出審査
吸収
支払
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自体
指導
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人や組織を動かす「共感」を生み出していくこと
インターネットの発展やコンプライアンス意識の高まりなどにより、企業側はこれまでの説得型コミュニケーションや一方的な情報発信では自らの企業価値をコ ントロールすることは困難。人や組織を動かす上で重要な「共感」は、このような社会全体のフラット化によりその重要性が増大
株式マーケットや投資家が株式投資(特に長期保有目的)する最終的な重要ポイントは対象企業に「共感」すること→これが「戦略フレームワーク」策定・実行の大きな理由の一つ
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業績改善のための3C分析
「3つのことを同時に見なさい」(3C分析)
繁盛魚屋を作っていくためには、「3つのことを同時に見なさい」と言っています。3つのことというのは、お客様、ほかの魚屋、自分のお店のことをいいます。
3つのことを同時に見なさい。
簡単なようで難しいのは、これらの3つを同時で見ること。同時に3つを見ることができれば、損が出ることはめったにない。損が出る場合は必ず3つのうちのどれかを見落としてしまっているからなのです。
なぜ「3つのことを同時に見なさい」なのか。
以前、私のオフィスの近くにはタイ料理屋さんがありました。そのお店に初めて入ったときのことです。店内の印象は内装がモダンで、一見、タイというよりフレンチかなと違和感を覚えました。席についてメニューに目を通すと、トムヤムクンやガパオなどの定番メニューに混ざって、なぜかパスタやピザまでありました。おそらく近くの競合店を意識して、メニューの幅を広げようとしたのでしょうが、味も中途半端で、美味しいタイ料理を期待していた私は、がっかりしてお店を出たことがあります。
皆さんもお店に入ったとき、「あれっ」と思った経験はありませんか。そのお店の雰囲気に似つかわしくないのに、流行店の真似をしているのを見て違和感を覚えた、といった経験です。
お客様に違和感を与えてしまったら、もちろんお店の集客力は弱くなります。魚屋の場合で考えてみても、なにか違うな、とお客様に思われていたら、次のような理由があるのではないでしょうか。
・ お客様とライバル店の研究はしているものの、自分のお店の強みではないことをしている魚屋。
・ ライバル店と自分のお店の研究はしているものの、お客様のことを見失ってしまった魚屋。
・お客様と自分のお店の研究はしているものの、ライバル店の動きに注目していない魚屋。
これらの3つが、魚屋が繁盛しなくなる典型的なパターンです。 お客様に何かが違うと思われてしまうお店には、3つのことが同時に見えていない場合が非常に多いのです。自分のお店のオリジナリティはなにか、強みはなにか、お客様はお店に対してなにを求めているのか、顧客ニーズはなにか、また、近くにある競合店はどんな強みで勝負しているのかを同時に見て、総合的に考え、分析していくことが、ビジネス成功の鍵といわれています。
「3つのことを同時に見なさい」は、3C分析の応用
最初に「3つのことを同時に見なさい」、とお伝えしましたが、経営学ではそれを3C分析と呼んでいます。経営学や経営戦略にはさまざまなツールがありますが、その最も基礎的なツールが3C分析なのです。3Cとは、お客様・Customer、他の魚屋・Competitor、自分のお店・Company、この3つを英語表記したときの頭文字をとったものです。魚屋をさらに繁盛させるために、集客の戦略を考えるとき、3Cを整理してみると、お店の問題点が改めて浮き彫りになってくるのです。
3C分析は、とてもシンプルな考え方であるのと同時に、使いこなすのは難しい
といわれています。実際に企業が失敗している点を分析してみると、3Cのうち、どれか一つの分析が不十分だったというケースが多いのです。
たとえば、いま考えている企画がお客様のニーズを満たすものであったとしても、競合先の強みを知らず、競合先の方がより魅力的で優位なアイディアなら、せっかく考えた売れるための企画も台無しに終わってしまいます。大事なことは、3つのCを三位一体で分析すること。経営学の世界では、3つのCを三位一体で分析する3C分析のプロセスがとても重要なのです。
顧客、市場、競合を分析した結果、導かれた成功要因に対して、自分の会社の内部の分析から分かった成功要因との違いを見つけて、アクションを導きだすことができる、そのための有効なツールが3C分析です。
魚屋で実際に行われた3C分析
それでは、街の魚屋を題材にして3C分析を見ていきましょう。
大手スーパーの鮮魚部門は品揃えも豊富で価格も魅力的です。普通の街の魚屋では簡単には太刀打ちできません。大手スーパーでは全国レベルで大量仕入をしており、それが低価格で販売できる大きな要因となっています。
このような状況のなかで、街の魚屋ではどのように大手スーパーの鮮魚部門に対抗していったらいいのでしょうか?
ここで最も役に立つ経営手法が3C分析です。3C分析では、まずは自社、競合他社、顧客のそれぞれにおいて重要なポイントをリストアップしていきます。最終的に3つから5つくらいの重要なポイントに絞っていきます。ここで重要となるのは、絞っていくプロセスの前には、できるだけ多くの要因をリストアップした上で優先順位付けするということです。
このお店では、まずは自分のお店の特徴について徹底的に自己分析し、最も重要と思われるポイントを3つに絞りました。それらは、「他のお店には負けない魚についての商品知識がある」、「お客様については顔と名前が一致するくらい親しく取引している」、「小さいお店である分、お客様に対してきめの細かい対応ができている」というポイントでした。
競合他社についての分析は、いろいろと研究してみた結果、次の3点に集約
されました。それらは、「最も直接的に競合しているのは大手スーパーであること」、「大手スーパーでは品揃え豊富で価格も安いこと」、「一方で、コスト削減に力を入れていることから、商品もサービスも標準的になってきていること」の3点です。
お客様についても徹底的に分析した結果、「お客様は景気低迷のなか低価格を求めている層が多いこと」、「その一方で、魚の需要やお客様のニーズも多様化してきていること」、「きめ細かいサービスを求めるお客様も根強く存在していること」がわかりました。
ここからが、3C分析を行う上で最も見逃せないところです。3C分析の注意点は何だったでしょうか?
そうですよね。3つのことを同時に見ていくことでしたね。
それぞれのCの重要なポイントを同時に考えていくと、そこから導き出される戦略の方向性は以下のような感じになってくると思います。
大手スーパーが標準的なサービス提供で十分に対応できていないきめ細かいサービスを求める消費者層に特化して、魚についての商品知識ときめ細かいサービスという強みを生かしたお店作りをしていくこと。
このお店では、戦略の方向性が3C分析で明確になったことから、さらに詳細な計画をこの本でも紹介するような手法を使ってつめていくことになります。特に次の章で紹介するSWOT分析を使って、自分のお店の強みを深堀りしていくのが効果的です。
前にも述べた通り、3C分析は3つのことを同時に見て、そこから戦略の方向性を導くことが大切である一方で、なかなか3つを同時に踏まえるというのは難しいものです。
とってもよくある失敗するパターンとしては、「ライバル会社がお客様にこんなことをやって流行っているからうちも会社でも同じようにやってみよう」といったケース。この魚屋のケースでいけば、「お客様の多くは低価格を望んでいて、大手スーパーの低価格販売もお客様に受けているので、うちでも価格を下げていこう」といった戦略を採用してしまう場合。大手スーパーは大量仕入に代表されるコスト削減ができているからこそ低価格で販売できるのであり、街のお店が単純に価格を下げたらまさに死活問題となってしまうでしょう。
最後に強調しておきたいのは、どうして経営学において数え切れないほどの手法があるなかで、3C分析が最も重要と指摘されているかという点です。
それは、「自分を知ること」、「顧客を知ること」、「競合を知ること」が、ビジネスにおいての3大要因であるからなのです。そして、これらの3大要因を考えることがとっても大切であるにもかかわらず、意外とできていないことが多い。だからあらためて3C分析と言っているわけです。「3つのことを同時に見なさい」とは、万国共通、業種を問わず、会社の規模を問わず、とっても大切なことなのです。
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状況
コスト
部門
ニーズ
プロ
鮮魚部
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方向性
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計画
研究
注意
パターン
存在
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豊富
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オフィス
問題点
詳細
自己
一致
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最終的
典型的
多様
注意点
簡単
知識
十分
大事
応用
競合店
消費
低価格
不十分
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大要因
方向
真似
店作
単純
見失
整理
対抗
削減
美味
一見
特化
満員御礼:経営セミナー
3月22日に当社主催経営セミナーを開催させていただきました。
当初は定員30名で募集させていただきましたが、多くの方々にお申込みいただき定員を50名に増やし会場も変更、最終的には60名の方々にご参加いただきました。3月でお忙しいなかをわざわざお運びいただき本当にありがとうございました。
当日は、「ホワイトオーシャン戦略による業績改善」と題して、私より約90分にわたって講演をさせていただきました。またクライアント企業を代表して、ジャスダック上場のジュエリー会社サダマツの貞松隆弥社長には、「ミッションは第1の商品」との演題でゲスト講演していただきました。経営トップが強くコミットし、社内に定着したミッションがどのように業績アップに好影響を与えているのかについて、多くの参加者の方々からは共感の声が寄せられました。
当日の司会と声トレ特別講座講師として、音楽家でカリスマボイストレーナーである秋竹朋子さんにご登壇いただきました。短時間であったにもかかわらず、声トレによって多くの気づきが得られたととっても好評でした。
http://ameblo.jp/tomokoakitake/
元東レ経営研究所社長が主宰する佐々木常夫マネージメント・リサーチ副社長でLA VITAオーナーである佐々木美邦子さんには、「意識美容・ボディメイク」ワンポイントレッスンをやっていただきました。長時間にわたるセミナーのなかでとってもいいリフレッシュになったと大変好評でした。
http://ameblo.jp/lavita-healing/entry-11201828294.html
60名にも及ぶオーナー経営者を中心とする参加者の大半は親しくしている友人7名がそれぞれの大切なお客様をお連れいただいたものです。ご所属先等の関係でお名前は伏せさせていただきますが、この場をお借りして新たな出会いと友人達のご好意に厚く御礼申し上げます。
今回の会開催にあたっては、私の方からもゲスト参加を懇意にさせていただいている方々にお願いいたしました。感謝の気持ちを込めて、以下にご紹介申し上げます。
*私が本を出版させていただく予定となっている出版社であるすばる舎の徳留慶太郎社長及び田中智子編集長
*4月よりホワイトオーシャン戦略のタイトルで連載を開始させていただく出版社である綜合ユニコムの万場栄一部長及び福田義徳次長
*長年にわたって私のメンターとなっていただいている日本格付研究所坪井清常務取締役
*「ハーバードの人生を変える授業」や「ザ・ミッション」等の翻訳家で人材教育者の成瀬まゆみさん
*ポジティブ心理学の権威であるポジティブイノベーションセンター渡辺誠代表理事
*日本有数の職業コーチである水村和司さん
*日本有数のエグゼクティブコーチである井原くみ子さん
*東証1部上場のレンタルビデオ会社であるウエアハウス石田満社長
*北海道有数の企業グループであるオカモトグループでジョイリハ黒川明彦社長
*日販の戦略子会社で出版・レンタルビデオ業界のカリスマであるMeLTS石村真一取締役
*日本一の「せどらー」でもあるKFE松浦公基社長
*中国に太いパイプをもつ日本抗加齢センター黒川正博社長
お忙しいなかでご参加いただき重ねて御礼申し上げます。
そしてセミナーの最後には、お客様を代表して以下の3名の方々にご挨拶いただきました。
サダマツの磯野紘一取締役。磯野さんは元JALアカデミー社長。その当時からコンサルティングのお取引をいただき、その後サダマツのNo.2となられてからも貞松社長にご推薦いただきお取引いただいている大恩人かつ大切なメンターのお一人です。
ホワイトオーシャン戦略・中小企業お客様である日本消防設備藤山ひろき社長
ホワイトオーシャン戦略・個人のお客様であるYT様(ご個人であるためここではお名前は伏せさせていただきます)
ご丁寧な御挨拶をいただき本当にありがとうございました。
そして今回ご参加いただいた方々からは、ホワイトオーシャン戦略プログラムに対して6件、研修プロジェクトに対して2件のお申込をいただきました。本当に心から御礼申し上げます。
当社では、これからも今回のような経営セミナーを開催していきたいと考えておりますので引続き何卒よろしくお願い申し上げます。
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