条件
商業施設における立地の重要性
立地の重要性を巡る問題意識
欧米での不動産ビジネスにおいては、不動産のミクロ的要因としては、「ロケーション、ロケーション、ロケーション」(「一にも二にもロケーション」という意味)と、立地条件が最も重要であることが強調される。本邦でも、収益還元法の下では初めてのマーケットの下落局面を経験しているなかで、立地条件の違いで物件価格の下落幅が大きく異なることを目の当たりにして、立地条件の重要性が再認識されている。
このように、感覚的に立地条件の重要性は実務家の誰もが認識している一方で、理論的かつ実践的に立地条件を理解しているプレイヤーは少なく、この点も現在のマーケット下落局面において明暗を分ける大きな要因となっている。本稿では、不動産の物件タイプのなかでも特に立地条件が重要となっている商業施設の立地を考察していくことで、広く不動産全般の立地条件についての考え方の指針を示していくことにしたい。
立地条件の重要性
図表1は、本章においてこれまで何度か紹介してきた「商業施設の売上方程式」である。今回の方程式は、当社グループでも実務的に最も多用しているものの一つであり、売上を「客数×客単価」に分解した後、「客数」を「来店客数×買上率」に分解、さらに「来店客数」を「通行客数×来店率」に分解していくことで、立地条件を定量的に検討することが可能になっている。
図表2は、図表1の売上方程式のなかで、特に通行客数や買上率に着目して「因数分解」したものである。対象となる商業施設における「客数」の最も基本的な「分母」となるものは、図表2の通り、「通行客数」である。消費者が、対象となる商業施設や物販・飲食等の個店を認識し、実際に立ち寄り、最終的にそこで商品・サービスを買上げるか否かは、これらの店舗前を通行する客数(郊外店舗等の場合には車での通行量)が基本になっているわけだ。ここでは、対象となる店舗前を通行した消費者(「通行客」)のうち、実際に同店舗を視認した消費者を「視認客」、さらに同店舗に入店した消費者を「入店客」、さらに同店舗で実際に商品・サービスを買上げた消費者を「買上客」と定義している。これらの関係に着目して数量的なデータとしたものが、「通行客数」、「視認率」、「入店率」、「買上率」等である。この内、本稿のテーマでもある立地条件の根幹を成すものが、「通行客数」や「視認率」である。図表2でも示したように、「入店率」、「買上率」、「来店頻度」等は、立地戦略よりは店舗戦略やマーケティング戦略に属する内容であり、詳細は別稿において紹介していきたい。
立地条件の特徴
このように、立地条件を決定付ける最も重要なファクターは対象立地における通行量である。商業の分野においては、特に通行量は最重要視されており、売上の8割程度が通行量で決定されるとも言われている。実際に定量分析してみると、業態によっては、店舗前通行客数の違いが、そのまま売上の違いに比例する個店も少なくない。
図表1に戻って、立地条件の構成要素を考察してみると、商圏人口(連載48回ご参照)、視認性、店舗構造が指摘される。視認性については、徒歩での来店が中心となる繁華街店舗と車での来店が中心となる郊外店舗とでは大きく定義が異なることに注意が必要だ。店舗構造においては、立地条件という側面からは、間口の広さが最も重要であり、繁華街店舗の場合には店舗全体を認識できる範囲、郊外店舗の場合には駐車場の入り口の広さが間口の広さに相当する。間口の広さは、個店で見た場合には特に重要であり、同じ立地における同じ面積の店舗であっても、間口の広さによって実際に入店する人数が異なることにも注意が必要だ。
立地選定のポイント
図表1.「商業施設の売上方程式」
図表2.「客数」の「因数分解」図
タグ:
-
分析
売上
商業施設
戦略
ポイント
店舗
商圏
重要
不動産
客数
飲食
ビジネス
商品
商業
因数分解
客単価
マーケティング
来店客数
分解
売上方程式
定量分析
物販
実際
入店率
サービス
立地
商圏人口
特徴
必要
データ
立地条件
施設
方程式
対象
当社
要因
マーケット
買上率
来店頻度
内容
紹介
消費者
重要性
図表
www
意味
連載
問題
価格
理解
来店率
指摘
通行量
意識
来店
構造
単価
業態
人口
定量
定義
視認性
テーマ
入店
決定
収益
point
条件
面積
来店客
範囲
要素
駐車場
視認率
グループ
考察
注意
店舗戦略
間口
立地戦略
経験
中心
徒歩
今回
詳細
ロケーション
関係
側面
現在
通行客数
構成
買上
数量
検討
認識
着目
全体
最終的
本稿
感覚
タイプ
merging
ファクター
分野
参照
消費
個店
通行客
通行
基本的
実践
実践的
頻度
最重要
実務的
強調
可能
本章
郊外
タイ
重要視
物件
人数
店舗構造
問題意識
同店舗
買上客
理論
視認
基本
店舗前通行客数
比例
明暗
入店客
決定付
郊外店舗
実務
因数
多用
下落局面
sr
理論的
店舗前
店舗全体
相当
再認識
対象立地
収益還元法
繁華街店舗
ミクロ
不動産事業プロデュース手法
事業プロデュースにおいて重要なことは、総合的かつ包括的に対象事業の全体と部分が見えていること、スタートからフィニッシュまでプロセスが見えていること、ゴールのイメージが明確に見えていることなどです。
当社では、お客様における戦略と戦術の実行をサポートしています。その一環として、様々な事業のプロデュースや商品・サービスのプロデュースを行っています。
このホームページにおいては、そのなかでも商業施設やエンターテインメント施設などを対象とする不動産事業プロデュースの手法をご紹介していきます。
I.プロデュースの意義
II.不動産事業プロデュースの手法
- 「プロデューサー」としての不動産マーケットにおける最上位のポジショニング
- 不動産プロデュースの意義
- 不動産プロデュースの全体構造
- 不動産事業プロデュースの主要ファクター
- 不動産プロデュースのための法的規制の基礎知識
- 建物ボリュームの算出
- 建築の配置計画
- 動線の計画
- 建築計画の視点
- 建築計画の主要ポイント
III. 価格算定・採算分析事例
タグ:
-
分析
商業施設
戦略
事例
ポイント
重要
不動産
商品
賃料
手法
商業
客様
プロデュース
サービス
施設
プロセス
対象
当社
マーケット
実行
紹介
事業
www
意義
視点
価格
全体構造
建築
構造
ボリューム
ホームページ
予測
プロ
算定
point
動線
プロデューサー
不動産事業
ポジショニング
条件
採算分析
基礎知識
明確
建物
算出
部分
配置計画
計画
イメージ
主要
建築計画
法的規制
スタート
賃料予測
価格算定
ポジション
総合
全体
知識
分析事例
merging
ページ
ファクター
II
総合力
サポート
採算
戦術
総合的
対象事業
最上位
前提条件
前提
基礎
一環
近隣賃料
上位
売買事例
III
商業施設のリーシング戦略
リーシング戦略の全体構造とプロセス
本章では、商業施設のバリューアップ・再生戦略として、商圏分析の手法と実際、再生戦略の事例等について考察してきた。今回は、商業施設のバリューアップ・再生のプロセスにおいて最も重要な要素であるリーシング戦略について紹介していきたい。
図表1は、リーシング戦略の全体構造とプロセスを取り纏めたものである。リーシング戦略の策定に当たっては、連載第47回で述べたように、自社施設分析、競合施設分析、消費者・マーケット・商圏分析等の分析・評価が不可欠である。徹底的な分析・評価を踏まえて、店舗戦略や店舗コンセプト等を策定していくのが次の重要なプロセスとなる。より具体的には、店舗戦略や店舗コンセプトを複数パターン策定した上で、各パターンにおいてフロアゾーニングを策定、施設全体のコアテナントやフロア毎のキーテナントを策定していく手順となる。一方で、店舗コンセプトと具体的なコアテナントとは高い相関関係にあることから、店舗コンセプトを確定していくのと同時にコアテナントを確定させていくのがリーシング戦略においては最も重要なポイントだ。各フロアのキーテナントや施設全体のサブテナント的なテナント企業は、コアテナントが確定した段階で当該コアテナントと相乗効果を生み出す先を中心にリーシングをしていくことが効果的だ。これらの主要テナントを確定させながら、図表2の通り、テナントミックスのエスキースを踏まえて全体のリーシングを進めていくことになるが、対象施設がリースアップ(100%の入居率とすること)できるか否かは、明確で合理性の高い店舗コンセプトの下に、プロセスの前半部分で主要テナントを確保できるかに大きく依存していることを指摘しておきたい。
テナントの賃料負担能力の把握
リーシング戦略を実行していくためには、テナントの業種業態毎の賃料負担能力を把握することが重要だ。業種業態によって店舗適性が異なるように、賃料負担能力も異なるからだ。
商業の分野においては、賃料や共益費等の費用は不動産経費や不動産特有経費と呼ばれている。賃料負担能力や不動産経費については、売上高総利益との割合で比較されることが多く、「不動産経費率」と言った場合には、売上高総利益に占める不動産経費の割合を指している。業種業態で差異があるものの、一般に、物販における不動産経費率4割前後、飲食での同数値3割前後、食品での同数値2割前後となっている。テナントミックス策定やリーシングを実際に進めていく際には、想定されるテナントの売上高利益率や在庫回転率等を試算した上で、テナント側の賃料負担能力を算定しておくのが効果的だ。より具体的な賃料負担能力や支払可能賃料を求めるには、売上高、売上高総利益率、不動産経費率等の数値が入手できれば、かなり精度の高い試算が可能だ。
「タテの立地条件」
前回は立地条件について詳解したが、商業施設においては、リーシング戦略を適切に実行していく上でも、「タテの立地条件」に精通することが重要となる。「タテの立地条件」とは、「立地内立地」とも呼ばれるものであり、「1階」、「2階」、「地下1階」等、対象となる商業施設内における立地条件のことである。
商業施設においては、同じ施設の中でも、フロアによって店舗適性が大きく異なってくる。一方で、フロアによって通行客からの視認性やアプローチの難易度も大きく異なってくる。一般的には、1階の賃料水準を100とした場合に、地下1階:75、2階:80、3階65というデータも指摘されている。もっとも、施設タイプが郊外の2層式大型施設の場合、駅に2階から接続している専門店ビルの場合などにおいては、2階部分も賃料水準が100に近いこともあり、「タテの立地条件」はケースバイケースであることに注意が必要だ。同様に、テナント側の業種業態によっても「タテの立地条件」は大きく異なる場合がある。例えば、美容室は1階よりも2階を好む傾向にある他、高級エステ等も羨望が良いことを前提として、上層階を好む傾向にある。
テナントミックスのエスキース、想定賃料の設定、施設全体の採算分析の実行に当っては、施設自体の立地条件のみならず、施設内の「タテの立地条件」も考慮する必要があることを強調しておきたい。
タグ:
-
分析
売上
商業施設
戦略
事例
利益
ポイント
店舗
テナント
商圏
食品
商圏分析
企業
重要
不動産
飲食
リーシング
賃料
手法
アップ
商業
利益率
策定
物販
実際
立地
経費
競合
ビル
経費率
必要
データ
立地条件
業種
施設
売上高
プロセス
対象
マーケット
バリューアップ
割合
実行
コンセプト
紹介
消費者
ゾーニング
賃料負担
比較
美容室
費用
図表
同時
評価
www
テナントミックス
連載
自社
回転率
在庫回転率
指摘
全体構造
構造
業態
共益費
賃料負担能力
再生戦略
再生
視認性
不動産経費率
段階
能力
プロ
算定
point
水準
条件
アプローチ
一般的
徹底的
採算分析
要素
効果的
不可欠
バリュー
考察
明確
キーテナント
ケース
部分
把握
注意
傾向
パターン
店舗戦略
効果
中心
負担
在庫
主要
今回
具体的
関係
設定
全体
大型
専門
専門店
フロア
一般
業種業態
タイプ
施設全体
merging
分野
タテ
考慮
消費
コアテナント
美容
採算
通行客
通行
不動産経費
確保
同様
適切
強調
合理性
可能
対象施設
当該
手順
想定
確定
賃料水準
本章
支払
支払可能賃料
地下
複数
郊外
タイ
入居
相関
フロアゾーニング
エステ
エスキース
前提
割前後
上層階
不動産特有経費
ミックス
試算
視認
依存
店舗適性
在庫回転
同数値
難易度
売上高総利益
売上高総利益率
sr
高級
競合施設
相関関係
自社施設分析
前半
前回
自体