【米国出張報告】「CES 2026(未来への加速)」と「トランプ2026(過去への逆走)」

いつも大変お世話になっております。田中道昭です。
10日(土)に、米国出張を終え、帰国いたしました。
私は今回、1月3日から米国に滞在し、現地の空気を肌で感じてまいりました。
滞在中は、米主要メディアがベネズエラ関連ニュース一色となる中、5日(月)にはテレビ朝日「ワイド!スクランブル」にリモート出演し、同ニュースにも使命感を持って解説を行いました。
今回の渡米で痛感したのは、2026年の世界が「奇妙な既視感(デジャヴ)」と「強烈な股裂き状態」にあるという現実です。ここで言う股裂き状態とは、前進する技術と逆走する政治が、同時に企業の意思決定を拘束する状況を指します。それを5本の記事として執筆しました(既に4本は配信済み)。
本出張を通じて私が痛感したのは、2026年の世界は「技術は不可逆的に未来へ進み、政治は感情と権力によって過去へ引き戻されている」という、歴史的な非対称状態に入ったという事実です。本報告では、この二つのベクトルを、現地体験・CES2026・トランプ2026・古典思想の4点から整理します。
「CES 2026(未来への加速)」と「トランプ2026(過去への逆走)」
1.「22世紀」へ加速するテクノロジー(CES 2026) NVIDIAが宣言した「フィジカルAI」により、AIの主戦場は言語から“世界そのもの”へ移行。国境を溶かし、世界を結合させる動きが加速しています。CES2026で定義された「産業AI革命」とは何かを理解することも重要です。
【富士通オウンドメディア】
フィジカルAIの時代(前編)
フィジカルAIの時代(後編)
CES2026で定義された「産業AI革命」とは何か
2.「19世紀」へ逆走する政治(トランプ2026) 一方で政治は、関税と孤立による「ドンロー主義(ドナルド×モンロー主義)」を掲げ、数世紀前の帝国主義へ回帰するような動き。世界を分断する動きを強めています。重要なのは、CES2026とトランプ2026は単なる対立ではなく、同時に現実を規定してしまっている「股裂き状態」にあるという点です。
3.「国際政治」を読み解く羅針盤(ダンテ『神曲』) この分断された世界で、リーダーはいかにして秩序(煉獄や天国)を取り戻すべきか。合理性を超えた「人間のダークサイド」を理解するため、私は古典文学『神曲』に一つの解を求めました。
なぜ世界中で「過激な独裁者」が愛されているのか…700年前の古典が暴く「エンタメ化した政治」の残酷な帰結 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
昨年以降、国際政治、なかでも強権的な手法を用いる多くの国家リーダーの行動を分析するうえで、私は「ダークサイドの理解」も不可欠だと強く感じるようになっていました。
合理性や制度論だけでは、彼らの言動は説明しきれない。そこには、恐怖、猜疑、傲慢、復讐心といった、人間の暗い衝動が色濃く反映されているからです。
そこで私は、社会科学の枠を超えて、ドストエフスキー、ギリシア悲劇、シェークスピア悲劇といった、人間の権力欲や狂気、自己正当化を徹底的に描いてきた古典を研究してきました。強権的リーダーの行動原理は、現代のニュースよりも、これらの悲劇文学の方が、はるかに正確に言語化していると感じたからです。
しかし、ダークサイドの分析だけでは、世界はどこにも向かわないことは明らかです。
破滅の構造を理解することと、そこからどう戻るかを考えることは、別の作業だと思います。
そこで私が行き着いた一つが、ダンテの神曲です。
とりわけこの作品が特別なのは、地獄だけで終わらない点にある。
人間の堕落と狂気を徹底的に描いたうえで、煉獄という「立ち直りのプロセス」を通過し、天国という「秩序の回復」へ至る構造を持っている。
現代政治はいま、明らかに「地獄篇」の論理で動いているようにも見えます。
敵と味方の二分、力による支配、恐怖の動員、正当性についての説明の拒否。
だが本当に必要なのは、「誰が悪いか」を叫び続けることではなく、どうすれば理性と秩序を取り戻せるのかを考えることではないかと思っています。
そこで本年最初のプレジデントオンライン記事では、「歴史 × ダンテ『神曲』 × 戦略論」という視点から、論考することを試みてみました。
これからのリーダーに必要なのは、「誰が悪いか」を叫ぶことではなく、どうすれば理性と秩序を取り戻せるかという「煉獄・天国への道」の模索です。第2弾は13日(火)配信予定です。富士通オウンドメディアとプレジデントオンラインでは、今週前半にCES2026モビリティー記事も配信されます。
また今週は、12日(月)テレビ朝日ワイドスクランブル、14日テレビ東京WBS、18日(日)テレビ朝日有働タイムズ出演となります。使命感をもって臨みたいと思います。
2026年、日本企業は「技術のグローバル化」と「政治のブロック化」という逆説にどう適応すべきか。 引き続きアップデートしていきたいと思います。
「日本企業が進むべき道は、政治のブロック化に適応しながらも、技術のグローバル化から決して降りないという二重構造の経営である」
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